おはよう、Limnanthes【あんスタ】

その4･情報錯綜(!?) ページ20

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｢見送、る……｣

｢ああ。プロデューサーも見てわかっただろう。『流星隊』はまだ『S1』に出ない方が良い。春の『S1』までは、もうあと2週間しかない。さすがに、無理がある｣


……ああ、なるほど。


｢言われてみれば、確かに……。ステージ設計、予算……いや、プログラムが先か。その辺で数日、それだと……ああ、なるほど練習時間が足りない……｣


守沢先輩は重々しく、｢……そういう訳だ｣と頷く。


｢お披露目の場は、いくつか考えている。夏の『S1』ではさすがに遅い。かといって『S2』は校内だけだから……9割方、学院外のイベントになると、俺は踏んでいる｣

｢……なるほど。
参加するイベントの目星は付いていますか？｣

｢いや、まだだ。ちょうど良い規模のものが無くてな｣


校内掲示板はよく見ているし、毎朝検索もしているのだが……と守沢先輩。

……じゃあ、その｢ちょうど良いイベント｣を探す所から始めなきゃいけないな。


｢あ、あの〜……｣

｢およ？ 仙石くんどうした？｣


こちらの様子を窺うように、仙石くんが小さく手を挙げる。


｢そ、その……そもそも『プロデューサー』というのがどのような御仁なのか……拙者、存ぜぬもので、あるからして……｣


まるで小動物のようなおどおどした態度で、伏し目がちに、それでもなんとか、｢ご教示……願い、申す……｣と絞り出す。


｢あー、私だけ自己紹介がまだだったね。
私はプロデュース科2年B組、青崎A。まだテスト段階だから、今年度だけはアイドル科と同じ教室にいるよ｣


目を伏せたまま｢2年、B組……｣と呟く仙石くん。


｢そ、2年B組｣

｢……い、衣更殿の、組……で、ござるな｣

｢衣更？ ……ああ、ま〜くんのことか｣


途端に大量のはてなを浮かべた仙石くんは、1拍遅れて、｢ま、まままさか……！ いいい衣更殿、まさか、こ、こここ、こ……｣なんて、訳のわからない事を言い始める。


｢ま〜くんはね、小学校時代からの幼馴染み｣

｢幼馴染み……？｣

｢そ｣


｢あの〜……｣


別の方から、眠たそうな声がする。
見れば、今度は高峯くんが手を挙げていた。


｢そもそも『プロデューサー』って何なんスか……？ 俺、聞かされてないし、よくわからない……｣


あー……そっか。

そういえば、この学院の情報伝達機能がアホレベルだったのをすっかり忘れていた。
そういうの、本来は学校側が1週間くらい前には全校生徒に周知させておくべきなのに。なのに、私が転校してきた日『プロデュース科』の存在を知らない人の方が多かった。

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