【HQ.能力パロ】話をしよう 第五部

能力 203 ページ5

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自室で一人、潜は術について書かれた書物を眺めながらさっきの札を思い出す。



｢(あの札、見た事ない文字だった。もしかして神字(かんな)？偽物じゃない本物の………初めて見たな)｣


神代文字(しんだいもじ)別名神字(かんな)、昔から使われていたにも関わらず、その文字は影にひそめられ、東国の島国で忘れ去られた文字。

漢字に先だった固有の文字であったが、その時代の日本語の音節数に及ばす、偽物であり最近作られたものだと言われていた。


だがあれは違う。
あれこそ、神様が使う、本当の本物の神代文字なのだろうか？



｢……………どうしたら、いい？｣






そして彼が思いついたのは………





｢………あの御方の、力に｣




秘密裏に、あの御方の夢を手伝おう。
そう思うのであった。








しかし、今の彼には大将を手伝えるほどの知識も技術も無い。ならまず何をすべきか？


｢………知らなきゃいけない｣


そう、まずは知識を貪るのだ。術に関してはもちろん、文字や仕組み、それらを理解する。



潜は神殿の中にある書物庫に足繁く通うようになった。また簡単な術符を自作し色々と試す。まずは発火、次に放電、次第にレベルを上げていく。

術符を作っていくうちに語学などの理解は自然と深まっていくのだ。




また、潜にはセンスがあった。
術を形成するセンスだ。




そして知ってしまう。






｢(大将様がやろうとしている術には、どうしても贄(にえ)が必要だ。じゃなきゃ不死なんて無理だ)｣


人の『魂』には寿命がある。それが長いか短いかは人それぞれだが、魂一つの時間はおおよそ100年と言われている。

そして大将の作っている術は、力(生命力)が無くなった魂に、術を使い他から取り出した魂(時間)を付け足すという方法だ。

大将様は己の無限の寿命の中から数百年分の時間を取りだし、術に込めようとしているのだ。



だが術符は完成はしても、人間に使うのは多分無理だろう。何せ種族が違う、見た目こそ似ていれど根本が違いすぎる。人間に大将様(神様)の魂が合うわけがない。

それに、若返りや老化停止術なども混ぜ込むとなると、術式の難易度は跳ね上がる。そもそもそれほどの術、人間に耐えられるのだろうか？




｢(……どちらにせよ、人間の魂が必要。)｣




なら、やることはただ一つ





若くて生命力のある魂を集めるのだ。





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