能力 202 ページ4
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また、大将には想い人がいた。
毎年、下の村からお供え物の新鮮な野菜を献上しに来る娘、
もう何百年と続く行事だが、潜がここに来たばかりの頃が、彼女の二回目の献上だったらしい。
潜は素直に大将の恋を応援した。
だが神様と人間、その時間感覚はまるで違う。年を追うごとに娘は女に変わり、女は老婆に変わっていく。それが人間界の変えられぬ摂理で常識だ。
そして、大将の使いの中でも上位に当たる潜を含め沼井たちは、彼が何かに焦っていることに霊力を通して気づいていた。
ある日、
「大将様、部屋のお掃除に参りました。」
潜がそう言って部屋に訪れると、中からいつもと変わらない様子の大将か現れ「ありがと、よろしくね」と言って部屋を出ていく。
潜は普通に掃除をして、ふと部屋にある
「………?」
全く見たことも無い術文が書かれた札に、興味を示し手に取ろうと手を伸ばす。しかし、
___バチッ!!
「っ!!」
芥箱に入っている訳だし、きっと失敗作なのだろう。なのに触れようとしたら静電気のようなものに拒まれた。
この静電気はあまりにも霊力が強いものに触れようとすると、こちらとの霊力差で力が実体化する……いわゆる逆流という現象だった。
潜は触ることは諦め、その札をじっと観察する。
難しい文字ばかり並んでいて読解に時間がかかったが、多分これは蘇生術のひとつだろう。それも傷を癒すとかのレベルじゃない。これは…………
「(…………若返りの術?、、、いや………)」
「潜〜〜?掃除終わったー?」
「………はい、終わりました。」
すると突然、襖の外から大将の声がした。潜は直ぐに芥箱から離れた。大将が入ってきて潜は外へ出る。
そして彼は直ぐに自室へと向かった。
潜は知ってしまった。
彼、大将が何をしようとしているのか。その危険を。
「(………あれは不死の術だ)」
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです!友達にもおすすめしちゃった!! (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています!最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました!次回作、本当におめでとうございます!!とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています! (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!! (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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