能力 223 ページ25
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すると、再び黒尾が大きなため息を吐くと、腰に手を当てながら仕方なそうに言った。
「…………ま、こいつが頭オカシイのは今に始まったことじゃねぇしな」
その言葉でDの人たちは思わず笑う。
彼らは彼女を信頼している。たった半年、されど半年、彼女と行動を共にする中でそれを築いてきた。
「ま、少なくとも普通では……ないかもね」
「いいんじゃないっすか、別に」
「学園祭とか楽しそうっ!!」
「頭おかしいのは今更だろ」
Dの面々がそういうのを聞いてAは「みんな酷いですよ〜」と言いながら笑う。彼らの言葉と信頼は純粋にうれしかった。
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「祭ぃ????馬鹿なの?お前????」
デジャブを感じる言葉を投げかけられ、Aはニコニコ笑顔のまま肯定すると、二口にこいつやべぇという顔をされた。解せぬ。
Dの面々の黒尾と日向はアテがあると我々とは別行動で人集めに向かい、Aと茂庭、京谷の三人は茂庭も足繁く通う工房に来ていた。
ガシャーン、ガシャーンと鉄を打つような音と、油と焼けるような匂いが物作りの凄さを膨らます。
二口の後ろでは見知った顔から初めて見る顔まで様々な人がキラキラと目を輝かしながら汗を流している。
「つまり、俺らにステージや櫓の建設を頼みたい……と?」
「そゆこと!話が早くて助かる!」
「…………茂庭さんも、こんな奴に振り回されて大変っすね…………」
「あははは……」
ニロのため息混じりの言葉に、茂庭さんは困り顔で笑う。否定せんのかい!とは思ったが今は無視しとこう。
「……………設計図、あんの」
「残念ながら今ここにはない。でも、
「………なんでそう言いきれる?」
「設計を担当してる方には、何百年と生きてきた経験があるからね。それに君たちの技術が加われば、きっとなんでも創れるよ」
二口はAの曇りのない笑顔を見て、彼女の根拠の無い自信は一体どこからくるのだろう、と不思議に思った。
だが、そんな彼女を信じてみたいと思う自分に少し笑った。
「いーよ、手伝ってやる。青根と黄金川、その他知り合い呼んどいてやるよ。感謝しろよ」
少し小馬鹿にした様な得意げな、そしてどこか仕方なさそうに、彼は言う。Aも大きく笑った。
「ありがとう!」
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです!友達にもおすすめしちゃった!! (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています!最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました!次回作、本当におめでとうございます!!とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています! (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!! (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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