玖拾弐 ページ42
·
有「要するに、二人きりで過ごしたい、ってことだろう」
伊「願望じゃない。本来そう在るべきなんだ。ここは姉様と俺の屋敷だからな」
有「……俺は、二人きりにするのはあまり良い気がしないな」
無「うん、そうだね、Aに何するかわからない」
伊「……何を言っているんだ?俺が姉様に何か危害を加えるとでも?」
有「姉様に、というか、Aに、だよな」
伊「お前達は頭が足りていないようだな。危害を加えているのはお前らの方だ。赤の他人が自分の屋敷に蔓延って、彼女は気が休まらないことだろう」
有「気が休まらないのはお前の方だろ。何時も何時も、嫉妬嫉妬で見てて忙しいよ」
伊「…俺がお前らのような奴に嫉妬など、」
無「よく言うよ、Aと話す度に僕達を睨むくせに」
伊「……それはお前らが姉様の貴重な時間を無駄に、」
有「だから、姉様、じゃなくて、A、だろ?」
伊「…お前はさっきから何を言っているんだ」
有「はぁ、…………いい加減認めろよ。
Aを女として見てるって」
伊「……………は?」
きゅうと喉が絞まり、息が止まる。
"図星を指された"と心が言った。
伊「……何を、…姉様は、姉様だろう……」
有「…どうせ認めたら負けだとか思ってんだろ」
無「逃げる方が余っ程負け犬だと思うけどね」
有「ま、認めざるを得ないみたいだな」
無「うん、顔真っ赤。Aのこと、大好きだもんね」
伊「…お前らと話していても、時間の無駄だ。俺は、失礼する」
居た堪れなくなってその場を去った。
伊「…………っ……」
そうだ、確かに俺はA姉様が好きだ。
これは、四年前から、ずっと。
何よりも大切だと思ってる。
これも、四年前から、ずっと。
なら、きゅんと音を立てて軋むこの胸の痛みは、一体いつからだっただろうか。
彼女の事を考える度に、身体の中心から何かが溢れ出ようとしているのをいつも感じていた。それを堪える度に俺は、喉の熱く焼けるような苦しみを味わった。
伊「………………あぁ、もう、」
俺の心を知りもせずに、のうのうと過ごす彼女が恨めしかった。
こんなに切ない気持ちになるのは初めてだった。
伊「…もう、駄目だ…………」
もういいよ、認めるよ、
そうだ、俺は、ずっと、
貴女がすきだと、声を大にして言ってしまいたかったんだ。
·
3389人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさぎもち - 無一郎かわええ・・・ (8月5日 16時) (レス) @page47 id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
冰輪(プロフ) - 無惨のママみがつおい……w (8月1日 0時) (レス) @page27 id: 3dfd0d46a5 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - いつも楽しみにしてます最新頑張ってください応援しています (2021年5月21日 22時) (レス) id: 15c1247fea (このIDを非表示/違反報告)
りぽE - 錆兔好き…。 なんでこんなイケメンなん??錆兔と義勇さんに攻められたらやべぇな (2020年6月10日 16時) (レス) id: 15686f771a (このIDを非表示/違反報告)
桃綺薇(プロフ) - 鯖兎に惚れた…… (2020年4月20日 18時) (レス) id: 3e7a0f8c20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:M2 | 作成日時:2020年1月18日 22時