カフェオレ男子【昼神幸郎】

８．バレた ページ8

「なっ」


「あ、やっぱり？最初はコミュ障なだけかと思ったけど、俺のせいだったんだね。あは、ちょっと傷つくなぁ。」





“コミュ障”という言葉で私は我を忘れかけ


“俺のせい”と“傷つく”で、一気に罪悪感が勝った。



けれど奴の顔には全く傷ついたような感情は見えない。




やっっっっぱりこいつ、マジで性格悪い！！！！！





「…………苦手じゃないし。」


「ならコミュ障？」


「コミュ障でもないし！！！」


「っはは。急に元気じゃん。」





口先で私を転がして遊んでいる感が否めないこの男。



私の中の「嫌」がどんどん上塗りされていく。



こいつの、女の子相手にも容赦ないところも嫌だけど、人からかってチャラチャラしてるところも嫌！！



やっぱりこいつカフェオレだ！！！


みんなあの美味しそうでオシャレなパッケージに騙されてる！！！！





「あーあ、そっか。俺Aちゃんに嫌われてるのかー、悲しいな〜」


「うぐえ」





そう言いながら、こいつは私に横からぐぐーっと体重をかけてきた。


このやろ、私とお前で何センチ身長差があると思ってるんだ。


しかも全く悲しそうな声じゃないし。





「っこの、は、なれろ……っ！」


「やだね。俺は傷つきました。これくらいは我慢してください。」


「う"っ…………」





私は罪悪感で傷ついた。


そしてあまりにも傷つきましたアピールがうざい。


だんだんかけられる体重も強くなり、私もとうとう声を荒らげた。






「私は！！優しくない男は嫌いなの！！！」





その勢いで、こっちにかけられた身体を突っぱねる。


思いの外強い抵抗に、奴は目を見開いていた。


怒りが収まらない私は、ついでにと言ってやった。





「人のことからかって楽しむとか無理！！
あと、どれだけ嫌いな相手に告られたか知らないけど、傷つけるフり方とか最低！！」


「っ」





流石に傷ついたようで、奴は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。



それを見た私は急に怒りが落ち込んで、一気に冷静になった。




やってしまった。


私は絶対に傷つける断り方はしないって決めたのに。



気まずい雰囲気となってしまったけれど、これは私が悪い。





「…ごめん、言い過ぎた。」






奴は何も言わなかった。


それもなんだか悔しくて、私は言い放った。





「アンタのことは嫌いだけど、私は嫌いなものは克服する主義だから。」


「！」


「首洗って待っとけこのカフェオレ野郎。」





そう捨て台詞を吐き、私はスタスタとその場を去った。





「………俺、まんまカフェオレ扱いじゃん。」





何故か男は笑っていた

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