42.スパダリ(仮) ページ42
お出掛けといっても、なにか目的がある訳じゃなくて、適当に市街地をぶらぶらするもんだと思っていた。
私たちは現在、少し歩いた先にある大きな木の下のベンチに座っている。ここの方が人通りは少ない。
「最初はどこ行くの?」
「色々探したら、今夏休み期間で色んな体験コーナーやってるんだって。近場だったらガラス工房とか、キャンドル作りとか。Aちゃんはなにか気になるものある?」
「えっと………」
けれど昼神は前もって色々準備してくれていたようで、色んな候補を提示してくれた。
スマホの画面を開いて、色んな工房のまとめサイトを見せてくれる昼神の、手馴れた感が凄くて早くもドキドキしている。
そしてスマホを覗き込んだことで距離が近くなって、なんかもう選ぶ所じゃない。
それでもなんとかスマホを覗き込んで色々見ると、1つ気になるものを見つけた。
「ハーバリウム?」
「植物標本のことだね。瓶の中に好きに花を入れて、オイル漬けにして長期保存出来るインテリアフラワーだって。
ここのは造花だから生花より長持ちするらしいし、他にも貝殻とか果物の模型とかも入れれるらしいよ。」
「へぇ………」
なにそれ、すっごく楽しそう。
一人の人間として綺麗なものは好きだし、何かを自分の手で作り出すというのもなかなか乙なんじゃなかろうか。
「これにする?」
「うん。」
昼神は私の反応を見て、笑いながらそう言うと、そのままスマホでお店のサイトに飛び、瞬く間に予約までしてしまった。
「半から予約したよ。ちょっと歩くけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫。」
昼神は、私の手を引いて立ち上がる。
それに流されるように私も立ち上がって、昼神は地図アプリを見ながらゆっくり歩き始めた。
あの場所は人はいなかったけど、道に出れば多くの人が歩いていて、昼神は私が誰かとぶつからないように、時々肩を寄せて守ってくれたりした。
控えめに言って死ぬ。
「ハーバリウムが終わったら、お昼食べて、その時に次の予定を決めようか。」
「お昼も決めてるの?」
「決めては無いけど、一応目星はつけてるから、Aちゃんの食べたい所に行こう。」
「でも、昼神だって食べたいものあるでしょ?」
「いーの、俺は食べれればなんでもいいし。というか、Aちゃんと一緒に食べるってことが、俺には重要だから。」
そう言いながら、昼神は握る手を少し強める。
付き合ってないのに、もう彼女扱いされている。
こいつのスパダリぶりが凄くて、もう付き合っているのかと錯覚しそうになりながら、私たちは歩き続けた。
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早苗くん - 36話めっちゃすきです。「海を渡る鴎に相応しい、海の男の音が響き渡る。」のところカッコよすぎです。 (6月10日 12時) (レス) @page36 id: 5215e79380 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - あぽ様です。さん» ですよね!わかってるんですよ「現実的じゃないなぁ」「ちょっとキャラ崩壊かなぁ」とは!しかし!私の解釈で書いてまいりますので!応援してくださる方はそのままで、ダメな方はゆっくり回れ右をして頂く!これが葵坂流でございます!コメントありがとうございました! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - ぺpopo。さん» ありがとうございます!!え、後味スッキリでした?!そう思っていただけたなら作者冥利に着きます!!夢主の性格は、作者どうしてもThe.女の子っていう子が書けない中でどうやって恋愛小説っぽい子を書くか思案した結果あぁなりました!これからもよろしく願いします! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» たくさんのコメントありがとうございまする!やはりあそこですか!!作者も結構頑張ってキュンを追求したのですけど、やっぱり展開が早すぎたかなぁと反省しておりました。そんなところにFLOWER様のコメントを頂きまして、大変心がほっとしております!次も乞うご期待! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
あぽ様です。 - 告白現場に居合わせる、ひどい振り方とか夢あるあるだね (2023年5月3日 0時) (レス) @page3 id: a540b2ed94 (このIDを非表示/違反報告)
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