37.目が離せない ページ37
激闘の末、鴎台は3セット目で負けてしまった。
結果は負けてしまったけれど、それが気にならないくらい、圧巻の試合だった。
バレー初心者の私はただ凄いってことしか分からない。
けれど、体育館にいる全ての人の視線が注がれていて、最後の挨拶が終わった後に巻き起こった拍手の数を考えれば、それがどれほど素晴らしい試合だったのか、誰でもわかる。
そして、昼神。
団体競技だから誰か一人を見るだけなんてそんなのは無理だ。実際今日はみんな輝いていた。星海も、2mさんも。
でも、なんだろう。
気持ちが昼神に引っ張られていると自覚してから、誰よりも輝いて見えた。
まるで1人だけ、オーラを放っていたみたいに。
昼神が動く度に、目がそっちに釘付けになる。
ボールではなく、昼神に目がいく。
………気持ちって怖いなぁ。
選手がバックヤードへ下がっていく。
きっと昼神は、私がここで待ってたらすぐ来てくれるだろう。
けれど、私はいてもたってもいられなかった。
手に持っていた趣味の道具を姉に預けると、昼神を目ざして走った。
何処にいるのか、私はそこ入れるのか、そんなのどうでもいい。
今度は、私から昼神に会いに行きたい。
約束だからそうするのではなく、私がそうしたいからそうするのだ。
無我夢中で階段を降りていく。
周りにいる人が何事かと私を見るけれど、気にしない。
けれど走って階段を降りればいつかはそのツケが回ってくるわけで
「っ、どわぁ!?」
案の定、階段を踏み外した。
身体は宙に舞った身体は、重力に逆らうことなく落ちていく。
思わず目を瞑り、迫り来る衝撃に耐える。
しかし、私の身体はなにかに抱きとめられた。
私の体はおそらく横抱きにされていて、そしてかなりがっしりした体に支えられている。
その温もりと腕の太さに、どこか覚えを感じた私は、心の端に淡い期待を抱いた。
おそるおそる目を開ける。
そこにはまさかのというか、半ば期待していたというか、そうだと思っていたというか、私が予想していた人がいた。
「っ、あ、ぶなかった…………」
「………っふ、あっははは……!」
「え、なに?なに笑ってるの?どこかぶつけておかしくなったとかじゃないよね?」
「いや、昼神は凄いなぁって。」
「えぇ…………??」
やっぱり、助けてくれたのは昼神だった。
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早苗くん - 36話めっちゃすきです。「海を渡る鴎に相応しい、海の男の音が響き渡る。」のところカッコよすぎです。 (6月10日 12時) (レス) @page36 id: 5215e79380 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - あぽ様です。さん» ですよね!わかってるんですよ「現実的じゃないなぁ」「ちょっとキャラ崩壊かなぁ」とは!しかし!私の解釈で書いてまいりますので!応援してくださる方はそのままで、ダメな方はゆっくり回れ右をして頂く!これが葵坂流でございます!コメントありがとうございました! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - ぺpopo。さん» ありがとうございます!!え、後味スッキリでした?!そう思っていただけたなら作者冥利に着きます!!夢主の性格は、作者どうしてもThe.女の子っていう子が書けない中でどうやって恋愛小説っぽい子を書くか思案した結果あぁなりました!これからもよろしく願いします! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» たくさんのコメントありがとうございまする!やはりあそこですか!!作者も結構頑張ってキュンを追求したのですけど、やっぱり展開が早すぎたかなぁと反省しておりました。そんなところにFLOWER様のコメントを頂きまして、大変心がほっとしております!次も乞うご期待! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
あぽ様です。 - 告白現場に居合わせる、ひどい振り方とか夢あるあるだね (2023年5月3日 0時) (レス) @page3 id: a540b2ed94 (このIDを非表示/違反報告)
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