23.現時点での気持ち ページ23
昼神の背中越しに見えるのは、クラスメイトや通りすがりの人達が、教室の扉の向こうから息を飲んで見守っている姿。
それも相まって私は恥ずかしくなってしまって、思わず自分の手を自分で強く握ってしまう。
「いた…っ」
「!ごめん、大丈夫?」
私の反応に、昼神は素早く身体を離して顔を覗き込む。
思わず手首を摩ってしまった私を見て、昼神は申し訳なさそうな顔で
「………ごめん、やりすぎた。傷つけちゃって、ごめん。」
その言葉が、いつかの私の言葉みたいで、なんだか拍子抜けてしまう。
その後、こいつは根に持ってますアピール全開で返してきて、また一つ「嫌」が上塗りされた思い出だ。
だから、私はその時の返事を真似て、こう言った。
「反省して、後悔して、一晩苦しんでくれれば、もう充分。」
「!………っはは、イジワルだなぁ」
「昼神には言われたくない。」
昼神は軽く笑うと、痣になった私の手首を優しく摩る。
思い返してみれば、こうして昼神に触れるのは初めてな気がする。
こんなに大きくて優しい手をしていたなんて、ちょっと損をした気持ち。
「………それで、さっきの告白の件だけど。」
「!!!」
そうだ、ちょっと忘れかけてしまっていた。
私、昼神に告白されてしまったんだった。
私は思わず頷いてしまったが、脳内はパンク寸前だ。
だって、今まで嫌いだと思っていた昼神だ。当然意識したことは無い。
でも、私は付き合うならもっとお互い好意が芽生えてからにしたい。とりあえず付き合ってみようなんて失礼なことはしたくない。
だから、お断りするのがベストなんだろうけど、昼神と溝が出来てしまうのはなんか嫌だ。告白を断ったあとは気まずい雰囲気が芽生えるもの。明日から夏休みとはいえ、私は何故か気が引けた。
なんでだろう。私は、昼神のことなんて嫌いだったはずなのに。
そんなことを考えていると、昼神が手を握ったまま片手をやんわり私の肩に乗せて、ゆっくりと地面に座らせる。
正面を向き合って、落ち着いた雰囲気になると、昼神は切り出した。
「最終的な判断は、夏休みの最後に聞かせて欲しい。」
「……え」
「Aちゃんが俺をそういう目で見てないのわかってるけど、俺、諦めたくないから。」
「えっと」
「夏休みの間、俺に存分に口説かれてほしい。」
「!!!」
空いた口が塞がらないし、教室の外のガヤもうるさいし、自分の心臓もうるさい。
けれど昼神の顔は、至って真剣だった。
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早苗くん - 36話めっちゃすきです。「海を渡る鴎に相応しい、海の男の音が響き渡る。」のところカッコよすぎです。 (6月10日 12時) (レス) @page36 id: 5215e79380 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - あぽ様です。さん» ですよね!わかってるんですよ「現実的じゃないなぁ」「ちょっとキャラ崩壊かなぁ」とは!しかし!私の解釈で書いてまいりますので!応援してくださる方はそのままで、ダメな方はゆっくり回れ右をして頂く!これが葵坂流でございます!コメントありがとうございました! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - ぺpopo。さん» ありがとうございます!!え、後味スッキリでした?!そう思っていただけたなら作者冥利に着きます!!夢主の性格は、作者どうしてもThe.女の子っていう子が書けない中でどうやって恋愛小説っぽい子を書くか思案した結果あぁなりました!これからもよろしく願いします! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» たくさんのコメントありがとうございまする!やはりあそこですか!!作者も結構頑張ってキュンを追求したのですけど、やっぱり展開が早すぎたかなぁと反省しておりました。そんなところにFLOWER様のコメントを頂きまして、大変心がほっとしております!次も乞うご期待! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
あぽ様です。 - 告白現場に居合わせる、ひどい振り方とか夢あるあるだね (2023年5月3日 0時) (レス) @page3 id: a540b2ed94 (このIDを非表示/違反報告)
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