22.体当たりの告白 ページ22
気付いてしまった私は、吊られて顔を赤くしてしまう。
それを見た昼神も、自分の気持ちが伝わったことを察知したのか、更に顔を赤くしていた。
「………言ってみてよ。」
「……は」
「ここまで来て伝わってないとかないと思うけど、Aは俺とカフェオレをイコールにして、我慢するから会わないとかいう馬鹿だから、ちゃんとわかってるか言ってみてよ。」
「え、そ、そこまでいわなくても」
「いいから、言いなよ。なんで俺がAと一緒にいたがるのか、言ってみなよ。」
お互い顔が真っ赤で、羞恥心に塗れている筈なのに、昼神の言葉はいつもよりキレキレで、そしていつもより真剣な響きをしていた。
逆らえない。けれど、これでもし間違ってたりしたらもっと恥ずかしい。
特に昼神の事だ。私をからかってわざと違うとか言うことも有り得る。
でもこれ言わなかったら今度こそ怒られそう。
そんなことを考えて沈黙していると、昼神は大きくため息をついた。
え、怒ったの?それとも呆れられた?どういう意味のため息?!
「………もう良い。なんか俺信用されてないみたいだし。」
「っ、ちが」
「違くない。俺に茶化されると思ったんでしょ。
……それは俺の責任。信じて貰えるようなこと言ってこなかったのが悪い。」
「あ、あの」
「だから、今は体当たりでいくことにしたから、逃げないでよ。逃げたら許さない。」
昼神はそう言うと、私の手首から手を離す。
私の手首にはちょっと痣が出来ていた。
ズキズキする手首を思わず摩ったその瞬間、私は昼神の腕の中に包まれた。
今度は、優しく優しく、私の全てを包むように。
そして昼神は、大きく息を吸った。
「好き。Aが好き。」
大きく吸った息の量を考えると、あまりにも小さすぎる、囁くような声。
一気に、私の顔の中心に熱が宿り、ドクンドクンと心臓が物凄く早く脈打っている。
それは昼神も同じようで、触れ合う肌から伝わる心臓の音が早い上に大きく伝わる。
それに驚いて固まっている私の耳元で、昼神は囁いた。
「………どう?ちゃんと合ってた?」
「ん……………」
「……良かった。Aちゃん鈍感だから、俺が言う前に他に好きな人作っちゃいそうで、ずっと心配してた。」
そして再び、いつも通りの呼び方でいつも通りの声音で、それでも囁くような音量で告げられる言葉に、私は更に胸を高鳴らせてしまう。
人生で初めての、家族以外からの好意に、私はただ泳がされるだけだった。
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早苗くん - 36話めっちゃすきです。「海を渡る鴎に相応しい、海の男の音が響き渡る。」のところカッコよすぎです。 (6月10日 12時) (レス) @page36 id: 5215e79380 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - あぽ様です。さん» ですよね!わかってるんですよ「現実的じゃないなぁ」「ちょっとキャラ崩壊かなぁ」とは!しかし!私の解釈で書いてまいりますので!応援してくださる方はそのままで、ダメな方はゆっくり回れ右をして頂く!これが葵坂流でございます!コメントありがとうございました! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - ぺpopo。さん» ありがとうございます!!え、後味スッキリでした?!そう思っていただけたなら作者冥利に着きます!!夢主の性格は、作者どうしてもThe.女の子っていう子が書けない中でどうやって恋愛小説っぽい子を書くか思案した結果あぁなりました!これからもよろしく願いします! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - FLOWERさん» たくさんのコメントありがとうございまする!やはりあそこですか!!作者も結構頑張ってキュンを追求したのですけど、やっぱり展開が早すぎたかなぁと反省しておりました。そんなところにFLOWER様のコメントを頂きまして、大変心がほっとしております!次も乞うご期待! (2023年5月3日 7時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
あぽ様です。 - 告白現場に居合わせる、ひどい振り方とか夢あるあるだね (2023年5月3日 0時) (レス) @page3 id: a540b2ed94 (このIDを非表示/違反報告)
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