玖ノ咄 ページ9
「済みません、お待たせ致しました、医師、エリスさん」
恥を凡て捨てました。
黒服のお兄さんが赤い顔で着るのを手伝って下さったのは忘れます。
「!可愛い!可愛いわよ怜!」
「は、はは…嬉しくない…」
頬を引き攣らせた乍僕はエリスさんの隣に坐る。
ドレスが空気を含みふわりと膨らみ、元に戻る。
雅やかだけれども、僕が着るとなると余りにも違い過ぎる。
「そうそう!君は探偵社に入るのだったね?」
「未だ入ると決めた訳では…」
「入り給え」
真剣な顔をされた。
「君一人では、この先の三組織の戦争で死んでしまうかも知れない。マフィアは其以上に危険だ。故に、君が異能を操れる様になる迄、探偵社に居るんだ」
勿論、君の異能が判ればマフィアに貰うけれどね。
付け足された。
何故僕がこんな事に……。
「は…い」
とは言え、そんなこんなで、僕は帰る事が出来た。
で、次の日。
「…お早う御座います」
いつも通りに花瓶の水かえの為早く行く。
すると、既に彼女が居た。
……何やら怒った顔で。
「何で休んだんですの?」
「え?」
「昨日、何故お休みになられたんですの?怜さん」
めっちゃ怖い。
「人の来ない所で話しましょうか。此処では話せないんです」
上の階段の踊り場なら良いでしょう。
そう云って花瓶を持つ。
先に遣らせて欲しい、の意だ。
「……判りました」
ハァー、と溜息を吐き乍待たれてしまい、僕は少し急いで水を変えて、踊り場へ向かった。
「で?何故でしたの?」
「その前に、探偵社に何方かに通話を繋げて頂けますか?」
「判りました」
云われる侭に通話を繋げて下さるナオミ。
「もしもし?兄様?」
『うン。如何したの、ナオミ?』
僕はスピーカーにして貰えるかと頼んだ。
「皆さん聞こえますか?」
『如何したの怜君!あ、昨日は何処へ行っていたんだい、あんなに急いで〜』
「…ポートマフィアですよ。元幹部の太宰さん」
携帯の奥から微かに息を呑む音が聞こえた。
それと共に、太宰さんが僕に問う。
『…君は、マフィアの子かい?』
「いえ。でも森医師には昔世話になっていたからか、生きて戻れました。叔父と叔母が裏切りの疑いを掛けられて、心配で拠点に行ったら…」
『……詳しい話は社で』
予鈴がなった為一旦通話を切り、彼女とは違うタイミングで教室へと戻った。
「後は文でお話致しましょう」
………授業は潰さないで下さい。
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蛍(kei)(プロフ) - あんこさん» 深夜テンションの塊だなぁとは思ったけど突っ込まないでおく((( (2017年2月25日 12時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 蛍(kei)さん» いえー!ありがとー!!夢主君のドレスに突っ込まないでくれてありがとう深夜テンションでこれ殆ど書いたんだ← (2017年2月25日 9時) (レス) id: dcde93e978 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(kei)(プロフ) - どもどもー、零御だぜ!やばいナオミちゃん可愛い……(( (2017年2月25日 0時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
リズ - この作品面白いですね! (2016年11月13日 23時) (レス) id: 9929c522bf (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - あんこ様、太宰さんとの絡みを書いて頂き、ありがとうございました!最高に面白かったです!!これからも頑張って下さい! (2016年10月28日 19時) (レス) id: 3767d3feec (このIDを非表示/違反報告)
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