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肆拾弐ノ咄 ページ42

突然の浮遊感。

車も動かないしドアも開かない。

僕は後部座席からばっと窓の外を見た。

「木の根!?」

春野さんが叫ぶ。

ミシミシと潰されていく車体。

ガラスが割れる。

ごめんなさい仲居さん。

「此の儘じゃ押し潰されますわ!」

ナオミが叫ぶ。僕は何とか出来ないかと思ったが、この時僕の異能は役に立たない。

と、その時枝の動きが止まった。

「申し訳ないね、お嬢さん方」

外を見ると、異能者だろう。

木の根が首から出ている人と、髪の長い不気味な男が居た。

喋り出すのを聞きながら、僕はキョロキョロと辺りを見回した。

マフィアは時間を計算していた筈。何とか時間稼ぎが出来れば、谷崎さんと国木田さんが奇襲を仕掛けられる。

……その時、季節外れの雪が薄らと見えた。

「私達を逃がして」

ハッとすると同時に、強く車が潰される。

僕は二人の頭を庇った。

耳元で囁く。

「安心して下さい。組合の方々は貴女達を殺しはしない。殺されるとしたら…」

「分かるかい?妹の為なら君がどうなろうと知った事じゃない」

僕は、持っていたナイフを取り出し木の根を切り扉を蹴り開け外へ飛び出した。

同時に国木田さんが現れ、組合の一人を撃つ!

「僕です!」

「何!?」

後ろから葡萄の彼を拘束する。

国木田さんが迷わず撃った。

対峙している内に谷崎さんは二人を逃がして下さった。

僕は、ナイフを彼の首元に。

「離れろ、怜」

「!君がサポートボーイか」

くるりと後ろを振り向き驚いた様に僕を見る。

僕は、何も云わずナイフを向けた儘そろそろと離れた。

「余所見は関心しないな」

国木田さんが撃つ。

僕は谷崎さんの元へ走った。

「怜君!此処は大丈夫だからナオミと春野さんを追い掛けて!二人だけは心配だ」

「判りました!」

僕は駆け出す。

…と、その時、何かが足に巻き付き、転ける。

「木の根……?!」

転けたと同時に身体に木の根が巻き付き、ナイフすら取れない。

口も覆われてしまった。

そうこうしている間に、お二人が髪の長い不気味な男に捕まっている。

「さて……これで形勢逆転だ」

僕の身体も浮き上がり、葡萄の彼に直接捕まってしまう。

マフィアに乗り込んだ時以来の恐怖を感じ、僕の身体は震える。

「ああ、安心して良いよ。君は殺さないから!」

葡萄の彼に笑顔で言われる。

声も出せないこの状況では、僕には何も出来なかった。

肆拾参ノ咄→←肆拾壱ノ咄



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作品ジャンル:アニメ
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蛍(kei)(プロフ) - あんこさん» 深夜テンションの塊だなぁとは思ったけど突っ込まないでおく((( (2017年2月25日 12時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 蛍(kei)さん» いえー!ありがとー!!夢主君のドレスに突っ込まないでくれてありがとう深夜テンションでこれ殆ど書いたんだ← (2017年2月25日 9時) (レス) id: dcde93e978 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(kei)(プロフ) - どもどもー、零御だぜ!やばいナオミちゃん可愛い……(( (2017年2月25日 0時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
リズ - この作品面白いですね! (2016年11月13日 23時) (レス) id: 9929c522bf (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - あんこ様、太宰さんとの絡みを書いて頂き、ありがとうございました!最高に面白かったです!!これからも頑張って下さい! (2016年10月28日 19時) (レス) id: 3767d3feec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年10月8日 18時

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