弐ノ咄 ページ2
「お早う御座います」
凛とした声が耳に届く。
云わずもがな、谷崎さんだ。
いつも通りに同い歳とは思えない程艶やかな笑みを浮かべている。
「お早う御座います、谷崎さん」
「まぁ…貴方が私に挨拶して下さるとは珍しい」
そう云い、クスクスと笑い乍隣に座る。
僕は幸か不幸か、彼女と同じクラスで、その上席が隣なのだ。
矢張り、人気者が隣に居ると妬まれるもので。
最近は女子にまで睨まれる始末だ。はは、女子怖い…
「人気者も大変ですね」
溜息を吐き乍、僕は先程迄読んでいた本へと視線を戻す。
「その割には貴方は興味が無さそうですわね?探偵社にも」
きっとその後には危険だけれど浪漫のある“ポートマフィア”と言葉が続くのだろうが。
「興味が無い、と云えば嘘になりますがね」
あら、と目を丸くする谷崎さんをちらりと見て、次の言葉を紡ぐ。
「僕は黒社会には触れず、平和に生きたいですから」
「私の暮らしが平和では無い、と仰るの?」
「実際そうでは?」
“マフィアとも闘った事がおありなのでしょう?”そう問うと、笑顔で是、の返答をされた。
「僕は御免です」
怖いのですか?
否。
静かな会話が為される。
不意に彼女が立ち上がった。
僕は本を奪われ、彼女に真っ直ぐ見詰められる。
「…何です?」
「貴方なら良さそうですわ!」
花が開くように、ふわりと美しく笑う谷崎さんに、厭な予感しかしない。
「怜さん」
「お断りします」
────貴方を、探偵社にスカウト致しますわ。
僕の日常が壊れる音がした。
「厭、聞けよ」
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蛍(kei)(プロフ) - あんこさん» 深夜テンションの塊だなぁとは思ったけど突っ込まないでおく((( (2017年2月25日 12時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 蛍(kei)さん» いえー!ありがとー!!夢主君のドレスに突っ込まないでくれてありがとう深夜テンションでこれ殆ど書いたんだ← (2017年2月25日 9時) (レス) id: dcde93e978 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(kei)(プロフ) - どもどもー、零御だぜ!やばいナオミちゃん可愛い……(( (2017年2月25日 0時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
リズ - この作品面白いですね! (2016年11月13日 23時) (レス) id: 9929c522bf (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - あんこ様、太宰さんとの絡みを書いて頂き、ありがとうございました!最高に面白かったです!!これからも頑張って下さい! (2016年10月28日 19時) (レス) id: 3767d3feec (このIDを非表示/違反報告)
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