花嫁修業46日目 ページ9
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『…っ』
熱くなった目を隠すように袖で強引に目を擦ろうとした時、その腕を止められる。反射的に顔を上げるとそこには哀しそうに私を見つめるうらた様が居た。
『…うら、た…様』
「……んで」
『ぇ?…あの、なんて』
「…なんで、泣くんだよ。お前が」
何故だろう、なんでなんて考えたこともなかった。私の言葉を待っているのかうらた様はじっと私を見つめ続ける。
『そ、うですね…』
「!」
『なんで、でしょうね』
「……わかんねぇのになんで泣いてんだよ」
『…大切、だから』
「…へー」
『うらた様で言う、浦島坂田船の皆様のことですよ』
「俺は別にあいつらと家族でも仲間でもねぇ…腐れ縁だ、同じにすんな」
『…とても仲良さげに見えましたけど』
「っ…それは、気の所為だ」
顔を歪ませてそう言い放つうらた様は前の私のような気がした。いらないことかもしれない、でも…
『うらた様は、甘いですね』
「は?」
『…優しいんじゃない、甘いんです。そうやって坂田様達を突き放して…居なくなった時に悲しくならないように』
「…違う、そんなんじゃねぇ」
『……大切なものはずっと傍に…なんてことは絶対にありません。明日無くなるかもしれない、大切な方が死んでしまうかもしれません。』
「だから、なんだ」
『…甘くじゃなく、優しくなりませんか。あなたにとって1番大切な仲間を、信じてみませんか』
「っっ……アホくせぇ、覚悟が決まったんなら早く行きやがれ」
『……余計なお世話でしたね、すみません』
うらた様に背を向けて歩き出す……最後に見たあの顔は、何を思っているのだろう…
−うらたside−
怖かった、正直に言えば…
自分の全てを、目を逸らす術を、逃げ道を塞がれた気がして。
言葉を紡ごうとしても出来なくて、声が出なくなった。図星だったからだ
『……。』
俺は、優しいんじゃない。ただ甘いだけ
昔からそうだ、怖いから、目を背けてる。坂田と、皆と出会ってから何も変わってないんだ。
「___うらたさん、僕らを信じてみない…?」
「___あなたにとって1番大切な仲間を、信じてみませんか」
一瞬、坂田の姿とあの人間か重なって見えた気がした。何処か似ている気がしてならない、人間だからだろうか
「うらさんやっと見つけた!!」
『…』
「…うらさん?」
『なんでもねぇ』
「……うらさんは優しいよ?」
『…』
「うらさん?」
……あぁ、やっぱり、俺は
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年5月19日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あや - 始めまして!この小説すごい好きです! まふまふさん推しなので得に! 受験お疲れ様です 更新頑張ってください! (2020年4月3日 0時) (レス) id: a7aad2115f (このIDを非表示/違反報告)
胡桃きら - 推しを愛で隊(夜桜)さん» お返事ありがとうございます。受験だったのですね、お疲れ様です!そしてほんとにすみません、、何回も読み返していてこれまで占ツクで読んだの中でトップ3の中に入るぐらいだいすきな作品です!これからも応援しています、作者様のペースで更新頑張られてください。 (2020年3月29日 21時) (レス) id: 5346f0bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - 胡桃きらさん» 初めまして、そんな有難い言葉を頂いて本当に嬉しい限りです…!!受験も終わりましたので、更新を少しずつ再開しようと思っています。我儘なんかじゃありません!!わざわざコメントして頂けるなんて驚きましたが…w更新は再開します。絶対なのでご安心して下さい!! (2020年3月7日 14時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - あいろさん» あ、ありがとうございます!!! (2020年3月7日 13時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜桜 | 作成日時:2019年4月9日 0時