花嫁修業55日目 ページ19
「…A」
『…………………………さ…』
「っ…！！」
『……あれ、私…』
「A！！！」
抱きしめられる、
状況が飲み込めず目の前にいる人をただ見つめる。
力強く抱きしめられていたからか着物が乱れている。軽く直して目の前を見ると彼の目は真っ赤だった。いや、充血していた。
「……生きてて、よかった…」
『……』
「…ごめん、やっぱり…僕は、暴走してしまった…」
『暴走…？』
「僕は、血を飲まないと暴走をしてしまう…そんな体質なんだ、近頃は薬で抑えていたんだけど…やっぱり、僕の体は可笑しいみたいだ」
『…』
抱きしめられている手がさらに力強くなる、人よりも余り暖かくない手は私を包み込むように大きかった。
私の身体が小さいのか彼が大きいのかは分からなかった。しかし、頭の中で混乱している私は理解が出来なかった。
そう、出来なかった。
ーまふまふsideー
ようやく起きてくれた。
死んだように眠る彼女から、僕は息を引き取ろうとしている事が分かった。何故彼女が死を選択しようとしているのか分からなかったが、僕は自分の我儘を伝えた。
……そして、戻ってきてくれた。
それだけで嬉しかった、
幸せだった、
彼女を抱きしめる力が自然と強まるのが分かった、でも、もう離さない。絶対に。
僕の身体がどんな化け物でも、彼女の前では綺麗でいたかった。でも、それはもう叶わない。
でも、Aは僕の暴走を知りながら、一緒に居るという選択をしてくれた。
「私は妻だから、そばに居る」
「まふまふ様はそんな人じゃない」
何度もそう言ってくれた、彼女は暖かい。僕の何を捧げても守りたい光だった。
夢の中で何度ももう一人の僕に会った、何度も、何度も、彼女を殺すように唆された。それでも、殺したいとも…食べたいとも思えなかった。
たとえ身体がそうでも、必死に抵抗した。
何故なら、僕はAが好きだから。
人間として、ではなく…
一人の
彼女に恋をした。
愛しい人に対する感情へと変わっていた僕の心は不思議なくらいに暖かかった。
ほわほわと、雲みたいに、雪みたいに真っ白で、軽くて、彼女のように暖かい
そらるさん達と話してる彼女を見ると胸が痛かった理由はこれなんだと直ぐに理解した。
だから、それを今、伝えたい。
『A、僕は……』
「あの、」
『ん？』
･
･
「貴方は……誰ですか？」
きっと、この世に、神は居ない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 517人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - 終わってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2021年5月19日 19時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あや - 始めまして！この小説すごい好きです！ まふまふさん推しなので得に！ 受験お疲れ様です 更新頑張ってください！ (2020年4月3日 0時) (レス) id: a7aad2115f (このIDを非表示/違反報告)
胡桃きら - 推しを愛で隊(夜桜)さん» お返事ありがとうございます。受験だったのですね、お疲れ様です！そしてほんとにすみません、、何回も読み返していてこれまで占ツクで読んだの中でトップ3の中に入るぐらいだいすきな作品です！これからも応援しています、作者様のペースで更新頑張られてください。 (2020年3月29日 21時) (レス) id: 5346f0bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - 胡桃きらさん» 初めまして、そんな有難い言葉を頂いて本当に嬉しい限りです…！！受験も終わりましたので、更新を少しずつ再開しようと思っています。我儘なんかじゃありません！！わざわざコメントして頂けるなんて驚きましたが…w更新は再開します。絶対なのでご安心して下さい！！ (2020年3月7日 14時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - あいろさん» あ、ありがとうございます！！！ (2020年3月7日 13時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜桜
| 作成日時：2019年4月9日 0時
