82話 ページ45
『お邪魔しました』
夕方になったので家に帰ることにした。
征は送ってくと言ってくれたが、これ以上迷惑はかけられないので断った。
「そんなことないよ。すごく楽しかった。
また来てくれ」
ニコッと征が笑う。
『私も楽しかったよ』
本当に。
'また来てくれ'なんて優しい言葉に頼りたくないから、私は絶対に'またね'なんて言わない。
楽しい時間がもっと長ければいいのに。
『じゃあね』
「あぁ、またな」
ヒラヒラと手をふり、扉が閉まる。
'またな'なんて言わないでよ。
私はギュッと手を握りしめて、征の家を後にした。
楽しかったな。
別れでもないのにこんなに寂しくなるなんて、私は弱くなってしまったんだな。
『…私は強い…』
そんな独り言は、急に吹いてきた冷たい風に包まれて消えていった。
キーンーコーンーカーンーコーン
「Aっちー！おはようっす！！」
下駄箱で上履きに履き替えていると、涼太が後ろから抱きついてきた。
『おはよう、涼太』
そう返すと涼太は嬉しそうに隣で上履きを取り出す。
「ねぇねぇ、Aっちー」
『ん？何？』
私は上履きを履き終え、顔を上げると涼太はもう履き終えていたようで目があった。
「次の休み一緒に出かけない？」
そう言った涼太の顔は真っ赤で、目をそらした。
かわいいな。
なんて思ったりして。
『いいよ、みんなを誘ってみよっか』
「そうじゃないっす！」
『え？』
「二人でって意味っす！」
『なるほど！いいよ〜』
「嬉しいっす！！」
本当に犬みたいで私はわしゃわしゃと頭を撫でた。
『犬みたい！』
フッと笑うと涼太は私の頭をグシャグシャに撫でてきた。
「仕返しっす！！」
『ちょっとやめてよ！』
私たちは他の人の邪魔になるので教室まで歩きながら話をした。
「なんか俺たちカップルみたいっすね！」
と、私の手を取りブンブンと前後に腕をふる。
『あ…』
カップルといえば、私黒島くんと一応付き合ってるんだった。
こんなことしてちゃまずいかな。
私は手の力を弱めた。
涼太は何かを感じたのか手を離した。
「…何でそんな顔するんすか…」
『え？何？わ！』
離したと思ったら今度は涼太に思いきり腕を引っ張られ、教室とは違う方向に走り出す。
『どこ行くの？！』
そう言っても返事はない。
涼太のきれいな髪がなびいている。
もういいや。
私は涼太に引っ張られるままどこかに向かった。
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Ai - 莉弥さん» ありがとうございます！！良き作品なんて…(ﾟﾛﾟ)更新頑張ります！ (2016年10月14日 7時) (
レス) id: 4b0ec96593 (このIDを非表示/違反報告)
莉弥(プロフ) - ﾊｧｯ…何て良き作品…(泣)
更新まってます！！ (2016年10月14日 1時) (携帯から) (レス) id: aa7d841247 (このIDを非表示/違反報告)
Ai - 明日香さん» コメントありがとうございます！！なるべく早く更新しますね！更新頑張ります！！ (2016年9月10日 21時) (レス) id: ca0ec5f260 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - とても面白かったです♪続きが気になります。更新頑張って下さい_(._.)_応援してます(^-^ゞ (2016年9月10日 19時) (レス) id: a56b4ade72 (このIDを非表示/違反報告)
Ai - 桜吹雪さん» コメントありがとうございます！！そんなこと思っていただけるなんて…すごく嬉しいです！！これからも頑張ります！ (2016年9月1日 19時) (レス) id: f7794d9ad5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ai | 作成日時：2016年8月20日 13時
