あの音を掴んで。【ヘタリア】

13曲目。 ページ18

アルフレッド視点



















土曜の朝だった。今日は部活だから、学校に向かう途中にアーサーの家の前を通った。


アーサーの部屋のカーテンが閉まっている。彼は部活に来るのは1番早いから、休みかと不安になり、インターホンを押した。




米「おーい、アーサー？いるかい？」

英「なんだ、アルフレッドかよ…悪りぃ、少し寝坊しちまって。今から行くんだ」


米「なんだ、は酷いんだぞ。HEROの俺が迎えに来たのに」








ー道中ー

米「それにしても、君が寝坊だなんて珍しいじゃないか」


英「自分でもそう思うわ。昔の、子供の頃の夢を見たんだ。あまり思い出したくないけど」




アーサーにも辛い過去があったのか、と俺は少し驚く。
近所に住んでいるのに彼の過去だとかをを俺はあまり知らない。









英「なに驚いた顔で見てんだよ。


朝起きたら目から涙が流れてた。ﾊﾊ､変だよな…高校生にもなって、泣くなんてさ。しかも昔の夢を見て」



まるで作り笑いだった。無理矢理笑顔を作っているような気がした。






米「…泣くことはいいことなんだぞ。自分の意思表示ができてるってことだ。

別にいいじゃないか、いくつになっても泣いたって。俺だって泣く。




泣きたい時に泣いて、笑いたい時に笑う。それでいいじゃないのかい？」












英「…なんかお前に正論言われたんが悔しい」



米「それでこそ、アーサーなんだぞ！HAHAHA☆」







思い出したくない過去。俺にだってある。

その過去を知っているのは、腹違いの兄弟・マシューのみ。




思い出すとどうも涙が止まらなくて、笑えない。

いつものアルフレッドでいられなくなる。“いつも”を保てなくなる。




いつもの俺を保つために俺はHEROでいなきゃいけない。





もうこれ以上、大切なものを失わないために。


失ってしまったあの子のために。

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