初恋はラムネの味に少し似ている

第１３話 ページ15

そのあとは、新人くんたちを治と一緒に探偵社の医務室に運んだ。

谷崎君の治療は与謝野さんに任せて、私はナオミちゃんの治療をする。

一応私の異能力のことを話しておくと、一度見た異能力者の異能をコピーすること。
だから与謝野さんの『君死給勿』も使える。

先に国木田くんが看病していたみたいだ。

『新人くんの調子どう？まだ起きない感じ？』

それを言った直後、新人くんが目を覚ました。

敦「ここは……」

よっぽど疲れていたんだろうなあ。

国「気づいたか。全く、この忙しい時に…」

国木田くんが嫌悪したように言う。

『国木田くん、新人くんの初仕事だったんだからもうちょっと労ってあげなよ』

新人くんが体を起こし、て考え込んでいる。

敦「僕、マフィアに襲われて。それから……そうだ、谷崎さんにナオミさんは！？」

焦ったように言う。
人の危機を見て焦れるのはいいことだと思う。

国「無事だ。隣で、与謝野先生が治療中」

『ナオミちゃんは私が治療したよ。与謝野さんみたいにはしてないから安心してね』

それでも、隣からの叫び声に震え上がっている新人ちゃん。
思わず

敦「……治療中？」

と声を漏らす。
それを与謝野さんに聞かれないようにね。

国「聞いたぞ個増。七十億の懸賞首だと？出世したな。マフィアが血眼になるわけだ」

そういえば国木田くんが持ってる手帳、さかさまだってことに気付いてるのかな？
新人くんが声を上げていった。

敦「そうです！どどどうしよう。マフィアが探偵社に押寄せてくるかも」

国木田くんが冷静に、しれっと答える。

国「狼狽えるな。確かにマフィアの暴力は苛烈を極める。だが動揺するな。動揺は達人をも殺す、師匠の教えだ」

敦「あの……手帳さかさまですよ」

あーあ、新人くん言っちゃったね。
国木田くんが固まる。
手帳を持ち直し、立ち上がる。
息を一つ吸ったところで、

国「俺は動揺などしていない！マフィアごときで取り乱すか！仮令、今ここが襲撃されようと俺が倒す！」

国木田くん、相当焦ってるんだなぁ。
説明がワヤワヤなんだよな。

国木田くんが落ち着いたのか元に戻った。

国「ふん。奴らは直ぐに来るぞ。お前が招き入れた事態だ。自分でできることを考えておけ」

『でもあんまり無茶なことはだめだからねー！』

国木田くんが扉を開けようとしたとき、ふと止まった。

国「ところで小僧。先刻から探しているんだが、眼鏡を知らんか？」

国木田くんは天然ボケだからねぇ。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←第１２話続き

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す