あつあつのフォンダン・ショコラをあなたと 1

2　どうしてここに？ ページ2

A「ねーねーお母さーん！

ちょっとこっち来てー！」


母「なになにどうかした？」




エプロンで手を拭きながら、

パタパタと騒がしくリビングに入ってくる母…




A「今、テレヒで人気カフェの特集してるんだけど…

この人！

やっぱうちのお姉ちゃんじゃない？」



母「あらヤだ。

お洒落な制服まで着せられちゃって、ホント楽しそうだこと(笑)。」



A「そーゆーことじゃなく！

お姉ちゃんって、病院で看護婦してたよね？

なのに何故カフェ店員？」



母「あぁそっち？

ヨナはね、あなたとは違ってちゃんと信念を持って行動してるの。

畑違いの仕事だけれど、本人が納得してるのなら私は咎めないわ。」


A「もしかして知ってたの？」


母「ま、事後報告だけどね。

看護婦辞めちゃったけど、ちゃんと生活出来てるから心配しないでってたった一度だけ連絡があったの。」


A「へぇそうなんだ、なんか意外。

で、でもさ…」



母「でもって何？

相談もしないで勝手に会社を辞めてきて、一日中家でゴロゴロしているだけのあなたにお姉ちゃんを批判する資格なんてないでしょ？

これだから、お父さんといつも衝突しちゃうのよ。」



A「ってか、それって私が悪いの？

ハイハイ分かった分かった。

もういい、お母さんなんて大嫌い！」


母「ちょ、ちょっと待ちなさいってば！」




テーブルを強く『パン！』と叩いて立ち上がり、逃げるように自分の部屋へと避難する。




あー、もー、

ヤだ、こんなとこ。





この不景気な世の中、なかなか就職先が決まらなくって、

ヤだけどお父さんにお願いして、知り合いの会社にコネ入社させて貰ったけれども。



男性ばかりの職場で、何かにつけて女のくせに調子に乗んなって罵倒されて、

セクハラまがいの嫌がらせもたくさん受けて。



それでも我慢しろだなんて、

ホント、どうかしてるよ。



だから、

あんな会社、辞めて正解なの。



私は間違ってないって、

今でもそう、信じてる。




でも…

いい加減、新しい仕事、見つけなきゃだよね？








そうだ！

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