さんわ ページ5
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「宮野さん、ちょっと話があるんだけど____いい?」
「な、なんですか?」
そう威圧を含んだ声色でそう聞くと、青い顔をした渚は怯えたように聞き返してきた。
気の毒に思えてきたが、仕方がない。
「あんた智樹君の何なの?彼女ヅラしてんじゃないわよ!」
と、後ろで私の友達が声を張り上げて叫んだ。
そーよそーよ!とそれに同調する声が耳の中でガンガンと響く
一方渚は今にも泣きそうな瞳でこちらを精いっぱい睨む
ふと、人の気配を感じ後ろを軽く振り返ってみると、教室の入り口には一人の男が立っていた
赤いパーカーに、あの顔。...たしか、六つ子の一人。
わが高校には世にも珍しい一卵性の六つ子がいた。そのうちの一人。全員、松がつく。
とにかく六つ子に1人が、怒ったような顔でこちらを睨んでいたのだった。
___やば、アイツ。渚好きだったんだ
そう思った瞬間。おそ松の後ろから教室に走りこんできた男、渚を想い、渚の想い人である中野智樹だった。
「俺の渚に手ぇ出してんじゃねぇよ!」
少女漫画でよくありそうなセリフを吐きながら、私たちから渚の肩を抱いて中野智樹は立ちふさがった。
め ん ど く さ い
私の頭を占めたキーワードはそれだけだった。非常にめんどくさいことになった。
そりゃ、少女漫画でピンチのときに駆けつける王子様はお約束なのだが...。
「こんどコイツに手ぇだしたらただじゃおかねぇぞ?!」
ヒーローにでもなったつもりなのだろうか。私たちに睨みを利かせて渚を抱く中野智樹。
本当にめんどくさい
逃げ出す女子に続いて私も教室をでる
舌打ちしたいのを懸命に堪えながら顔を上げると、赤いパーカーの松と目が合ってしまった
___しまった。
怒り顔を見られてしまった。
慌てて顔を伏せ、ソイツに背中を見せて思いっきり廊下を走った
__それにしても、あの赤パーカー。
渚に好意を抱いているようだったが...。所詮ヒーローとヒロインは結ばれるわけであって。
アイツは渚にかなわぬ恋心を抱いているのだから...
少女漫画でいる当て馬、というところだろうか。
まあ、二度と関わらないから関係ないけどね。
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よもぎ - 更に更に更に下に同じく(確信) (2017年12月20日 22時) (レス) id: 7bcd989f88 (このIDを非表示/違反報告)
ニューとかる - 更に更に下に同じく(確信) (2017年11月26日 20時) (レス) id: c47d6e27a8 (このIDを非表示/違反報告)
堕悪魔 - 更に下に同じく(確信) (2017年11月25日 22時) (レス) id: 8f1799df88 (このIDを非表示/違反報告)
あるてぃめっつ(プロフ) - 下に同じく(確信) (2017年11月23日 12時) (レス) id: 3614360162 (このIDを非表示/違反報告)
青歌 - あ、絶対これ面白い(確信) (2017年11月21日 22時) (レス) id: fb0e3e82b8 (このIDを非表示/違反報告)
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