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18瓶目 エリート ページ27

「そういえばさぁ〜…君ってどこに住んでるのぉ」

ふとノアがそう聞いてきた。
早々に店を閉め「出会いの記念に!」と
近くの酒場に連れてこられていた。
周りには大勢の客がそれぞれテーブルを囲んでおり、
酔って真っ赤な顔になっている者、
静かにカウンターで一人で飲んでいる者など
色々な客がいる。

「あー、それが…本当に最近この街に来たばかりで」

故郷にも帰れないし家もないんだ、と続けた。
言葉を濁しつつツマミのポテトを食べる。
程よい塩気がいい感じだ。
未だ特に酔った様子もない私と対照的に、
ノアはもう既に出来上がっているようで。

「えぇ!?そうなのぉ!?」

アヒャヒャ、とやたら大きな声で笑って
グイグイ酒を呷っていく。
ぷはぁ、と息を吸う彼はグラスをテーブルに置くと、
真っ赤な顔でこちらを見た。

「じゃ、僕の家においでよ!決まりね!」

それがいい!名案!ノアくんさすが!
自画自賛の言葉を並べまた笑い始める。
これ以上飲んで大丈夫なのだろうか。
それにしても、こんな奴を住まわせる気になるなんて
相当お人好しなのが分かる。
…正直、助かった部分もあるが。

「店員さーん!ビールおかわりくださいっ」

機嫌よく注文する彼を眺めていると、
なんとなく懐かしさを覚えた。

「ね、ここだけの話だけどさ」

手にポテトを持ち彼が言った。

「この街の連中って皆ワケありなんだよね」

ニヤッと笑うと、両手を筒のようにし
耳を貸すように指示する。
その通りに耳を近づけると彼は続けた。

「隣のテーブルのあいつ…黒い帽子の。実は…」

えっ!と声を上げそうになるのを必死に抑える。
そんな反応が面白いのか、ノアはさらに

「そこのカウンターで一人で飲んでる人…
あの人はこの街の…隣の人は…」

衝撃的なことをポンポン言ってくる物だから
驚きが止まらない。
少し間を開けてから彼は言った。

「それでね…実は僕、悪魔なの」

私の耳から手を離すとアハハっ!と笑う。
この街は確かに色々な奴がいると聞いたが、
まさか情報屋までがそうとは思わなかった。
自分の力故に大抵の事は驚かなかったが、
彼の情報力と街の闇に改めて驚く。
悪魔というのは生まれながらのエリート…
国の大事な仕事に就く者がほとんどだ。
どうして情報屋なんてことをしているのか。

「どう?君も僕のこと気に入ってくれた?」

先程までの愛らしさは消え、
向き合ったピンクの瞳はギラついているように見えた。

19瓶目 異端→←17瓶目 情報屋ノア



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ワタクシ(プロフ) - レイさん» いつもお世話になっております……!そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです!これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月11日 22時) (レス) id: cfda2d1e9e (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 本当に綺麗な文章で感激しています!この作品大好きです!これからも応援しています!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: a4e5c10c36 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - 関西人さん» 長いこと留守にしていましたが、貴方様のコメントで励まされました.......!素敵な言葉をありがとうございます。もう一度書きたいと思えました。これからも応援してくださる方のために書き続けますので、何卒よろしくお願い致します! (2019年10月12日 22時) (レス) id: d168fc46ca (このIDを非表示/違反報告)
関西人(プロフ) - 凄く綺麗な小説ですね!大好きです。もっと早くに知れば良かった... (2019年9月8日 16時) (レス) id: 35e35c5ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - つばさ、別アカ2さん» 返信遅れて申し訳ありません、お褒めの言葉ありがとうございます!諸事情で「きみの瓶詰め」の方は停止中ですが、こちらをお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2019年2月24日 21時) (レス) id: 91d5b5e9ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワタクシ x他1人 | 作成日時:2018年12月19日 20時

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