検索窓
今日:20 hit、昨日:36 hit、合計:228,328 hit

問42:本当は違った? ページ41

「…本当は善逸さんを此処に連れてくるつもりは無かったんです」


禪豆子が言った。え? 何連れてくるって。俺、君と初対面だよね? テンパっていると隣に立っていた太宰が「それが君の異能だね」と言った。禪豆子は頷く。


「はい。私が人間の頃から持っていた異能力『過去体現』。数十秒だけ、過去に行くことができます」
「その異能で善逸君のいる過去に行き、善逸君を連れてきたのか……」
「え?え? 何、二人して何難しい話してるの? 俺にも分かるように説明してよ!! お願いだから!!」


善逸の叫びは見事にスルーされる。そんな善逸の肩に手をポンと乗せ、優逸は言った。「俺も何言ってるのか分かりません」。全くフォローにもなってないし嬉しくもない。


「本当は炭治郎さんを連れてくるつもりだったんです。でも炭治郎さんを探す時間が無くて…」
「じゃあ何!? 俺、炭治郎のせいで今こんなことになってんの!?」


ギャアーと一人叫んでいると「善逸さん」と禪豆子が善逸に話しかけた。善逸は叫ぶのをやめ、禪豆子を見る。


「私を殺してください。そうすれば、善逸さんも元の時代に帰れる」


「兄が死んだ今、鬼は私だけです」禪豆子は言った。「え?」と俺は言う。


「りゅ、龍治郎は他にも沢山鬼を作ってたんじゃあないの?」
「そうですけど、私が全部殺しました。私の血鬼術です。『鬼殺し』。それが私の血鬼術」


「だから、早く最後の鬼を殺してください」禪豆子は言った。禪豆子の為にも殺してあげないといけないのだろう。分かっている。だから鞘から刀を出した。

カタカタと手が震える。いざ殺すとなったら何だか禰豆子ちゃんに見えてきて殺すに殺せない。愛おしそうに龍治郎を抱きしめている姿なんて最早、禰豆子ちゃんだ。


「そんなに悩むことはありませんよ。ただ、首を撥ねるだけですから」
「ッ――!!」


スパンと禪豆子の首を撥ねた。頼んできただけあって、抵抗とかは全くしなかった。


「ありがとう」


禪豆子は最後に龍治郎の死体を抱きしめると消えてしまった。
そして暫くして善逸の姿も霧のような形になって消えていく。


「な、なになになに!? なんか消えてる! 俺の下半身が消えてる!!」
「元の時代に戻るんじゃあないのかい?」
「なんか嫌だ!! この消え方嫌だよ!! もうちょっとカッコイイ消え方無かったのか――」


全てを言い終える前に善逸は元の時代へと戻っていってしまった。

問43:も、もしかして――?→←問41:身内の不始末は身内がつける?



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (226 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
283人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

美弦 - ですけどこの作品は本当に面白くて自然とスクロールする指が動いていました。素晴らしい作品をありがとうございます! (3月28日 1時) (レス) id: 05b5571ecf (このIDを非表示/違反報告)
美弦 - 私、あんまり成り代わりとくじゃないん (3月28日 1時) (レス) id: 05b5571ecf (このIDを非表示/違反報告)
国木田 独歩 - アニメを作ると面白いと思うぞ! (2020年3月26日 14時) (レス) id: 4af845f6bd (このIDを非表示/違反報告)
包帯無駄使い装置 - やっぱりどんなときでもどんな場所でも太宰さんはかっこいいなー今度は太宰さんが主人公で!って無理ですよね私はとにかく太宰さんが大好きです!今回のはとーってもおもしろかったです! (2020年3月26日 14時) (レス) id: 4af845f6bd (このIDを非表示/違反報告)
月下の君に吠える(プロフ) - 雷の呼吸の使い手が柱になると鳴柱になると思います… 多分なんですけど…  とっても面白いです! (2020年2月9日 21時) (レス) id: a219a83582 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:フ瑠ラン | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年6月27日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。