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伍拾肆話 ページ18







「"ぬ" をつけるとサムライっぽい口調になると小耳に挟んだ。カッコよさそうだから試してみたぬ。
間違ってるならそれでも良いぬ、この場の全員を殺してから"ぬ" を取れば恥にもならぬ」




うんまぁとりあえず…日本語の勉強してきてから入国して欲しいかな。

ゴキゴキ、と手の骨を鳴らしながらそう言う目の前の人に対して心中そんなことを思いながらも、首の近くに手を置く。




「素手…それがあなたの暗殺道具ですか」

「こう見えて需要があるぬ。身体検査に引っかからぬ利点は大きい。近付きざま頚椎をひとひねり、その気になれば頭蓋骨も握り潰せるが」



あ〜、いるなぁ、そんな知り合いというか上司。ステキな帽子を被った小柄の上司の姿を頭の中に思い浮かべた。




「その気になれば、ねぇ…。
そんなの認めたくはないけれど、私たちの知り合いにもいるとも。チビで力ばかりでまるで考え無しの蛞蝓がね」

「……後で怒られても知りませんよ、太宰さん」

「君が云わなければ佳いだけの話だけどねぇ」




面倒なことは好きじゃないけど、太宰さんと中也さんの乱闘は見てて面白いから好きです。こんなことは口が裂けても言えないけど。
……ヨコハマに戻ってから中也さんに告げ口しよう。




「それで?殺し屋くん、君はどうしたいんだい?」

「……人殺しのためのチカラを鍛えるほど、暗殺以外にも試してみたくなる。すなわち闘い、強い敵との殺し合いだ」



…………太宰さん、あの人がご所望ですよ、行ってあげてください。
目で訴えながら近くにいた大宰さんの外套を掴んで引っ張る。もちろん、その手ごと掴まれたけど。




「だが、がっかりぬ。
お目当てがこのザマでは試す気も失せた。雑魚ばかり1人で殺るのも面倒だ、ボスと仲間呼んで皆殺しぬ」




特徴的で軽快な電子音が場に似合わず響く。どうやら連絡を入れるらしい。


……エッ。
グイッと引っ張られた手。その勢いのまま思わず前に出る。

それついでに元凶である太宰さんを睨み、針を飛ばした。




「ねぇ、おじさんぬ」



抱きとめられるような感覚と勢いよく吹いた風、今さっき聞いたそれよりも数倍大きな音でガラスが割れる音。
そしてすぐ上で聞こえた赤羽くんの挑発じみた声。




「意外とプロってフツーなんだね?ガラスとか頭蓋骨なら俺でも割れるよ。ていうか速攻仲間呼んじゃうあたり、中坊とタイマン張るのも怖いひと?」



……わお。

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たびのひと - はじめまして!とても面白いです!一日で全部読んじゃいました!更新待ってます! (2020年5月18日 23時) (レス) id: 06a128996a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カノ | 作成日時:2020年1月12日 2時

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