伍拾参話 ページ17
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「いやぁ、いよいよ『夏休み』って感じですねぇ」
顔には謎のお日様マーク。
相も変わらず口はニヤついたまま、せんせいはそう言った。
「何をお気楽な!!」
「ひとりだけ絶対安全な形態のくせに!!」
まるで皆がブーイングをするように指を指して漫才のようにツッコミを入れるのを見てニコニコと笑う。
仕舞いには、潮田くんに振り回されて酔っていた。
「…せんせい、どうしてコレが夏休みなの〜?」
はぁい、と子どもじみたように手を挙げてまだ酔い状態のせんせいに問いかける。
「先生と生徒は馴れ合いではありません。
そして夏休みとは先生の保護が及ばない所で自立性を養う場でもあります。大丈夫、普段の体育で学んだ事をしっかりやれば…そうそう恐れる敵はいない。
君たちならクリアできます、この暗殺夏休みを」
……。
容赦ないなあ、ほんっと。体育、基は暗殺だけは無茶ぶりの課題を私たちに課すのがこのせんせいの特徴だ。
まー、この残り時間なら後戻りはできないし。やるしかないってこういうことを言うんだろうね。
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1番前にいる寺坂くんの動きが止まる。
そろり、と覗いてみると堂々と立ったソレ。
立地、というより狭くて見通しの良い展望通路だとあっちの方が有利。
今ここで射撃が出来るのは太宰さんのみ、でも撃ちそうな雰囲気はないし……どうしようか。
パリン、と。
ガラスが割れる音がして思わずそちらを見ると素手でガラスが割られていた。
「…つまらぬ。
足音を聞く限り『手強い』と思える者が1人も居らぬ。精鋭部隊出身の引率の教師もいるはずなのぬ…だ」
……なるほどね、これはバレてない解釈でいいんだ。
一瞬だけ焦ったけど今確信した、相手は私と太宰さんの存在認識をしていない。
治療薬を奪い取る確率はほんの少しだけ高くなった、かな?
「どうやら…"スモッグ"のガスにやられたようだぬ。半ば相討ちぬといったところか、出てこい」
喋る度に違和感しか感じられないよこれ。
袖から前のアレにも通用した毒の塗られた針をゆっくりと出しながら微笑む。
「"ぬ" 多くねおじさん?」
言ったよ、赤羽くん。
こういう時こそ、赤羽くんの出番というかなんというか。
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たびのひと - はじめまして!とても面白いです!一日で全部読んじゃいました!更新待ってます! (2020年5月18日 23時) (レス) id: 06a128996a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カノ | 作成日時:2020年1月12日 2時