その月は青白い。まるでスポットライトのような存在である。 ページ19
「義勇さん、実はさっきAさんの家でクッキーを頂いて‥お土産を貰ったので義勇さんも是非!」
「炭治郎‥お前Aに会ったのか?」
「はい、‥‥Aさんのことも聞きました。俺も、Aさんの記憶が戻る手助けをします!」
「ちょっと待て炭治郎‥‥お前俺らが鍛錬してる間に女の子とお茶してただぁー?しかもAさんって凄く美人だと鬼殺隊噂の?地獄におちろ‥膝まずけええ!!!」
*
青白く光る月が美しい。嗚呼、と屋根の上に座り酒を呷る。
昼間、炭治郎がAにクッキーをご馳走になったと義勇に言っているのが聞こえた。
あの小僧は訓練もせずによく能能と菓子など食ってられるな。Aも呑気すぎる。
それとも、思い出す気はないのか。
記憶喪失になったアイツに会うのが怖い。どうしようもなく怖い。
俺のことは忘れているのか。いや、忘れているだろうな。俺より仲の良い宇髄やあのお隣のことさえも忘れているからな。仕方ない。
仕方ない、なのに、俺は、どうして。ゆっくりと、伊黒は項垂れこむ。
Aが柱会議に潜入しAの母__会ったことはないが元氷柱で鬼になってしまった後も優しかった母を殺したと苦しげにいった。
あの時、俺は何か声をかけただろうか。Aの表情を見れば誰もが何か事情があったと思う筈だ。なのに俺は何もしなかった。
情けないーーー。
そんな伊黒の様子に、心配そうに鏑丸が伊黒の顔を覗き込む。
「すまない。もう大丈夫だ」
伊黒は穏やかに微笑み鏑丸の頭を撫でる。鏑丸は気分を良くしたのか伊黒の膝で眠る。
『やあ、伊黒さん』
ーーーやあ、蛇くん。
ぎょっ、と目を見開きAを見る。蛇くんと呼んでいたAの声と、重なる。
「貴様いつからっ……!!」
『今から』←
隣に平然と座っているAに伊黒は肩をあげて驚く。どうやって登ったのか。ここ屋根だが?(※Aは一般人)そもそもどうやって俺の家を知った?
言いたいことは山程あるが聞いたところで仕方ない。コイツは、Aはそういう奴だ。人の斜め上どころか予想できない方向をいく。
酒を勧めるか迷うとAが皮切った。
『月が綺麗だね』
嗚呼、そうだ。コイツは月が好きだった。それは記憶に関係なくそうなのか。
「そうだな」
『そういえば何故私がここに来たか知っていますか』
「‥‥いや」
優しさなんて本当は凄く簡単なものなんだ。→←久しぶりのこの流れ。辛いのは一割でいい。
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ひいらぎ・いろ - 小冬さん» ありがとうございます、いつも小説を書く度に面白いか凄い不安になって、、そう言ってもらえて凄く凄く励まされます!これからも頑張ります! (2021年5月2日 7時) (レス) id: 3d1bfbcbe7 (このIDを非表示/違反報告)
小冬 - とっっても、面白かったです!!もう、夢主の反応とかがめっちゃ面白くていつも思い出して笑っています!!これからも頑張って下さい!! (2021年5月1日 23時) (レス) id: b394ae1541 (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - S_t0606さん» コメントがきたことにはしゃぐ人間はこの世にはいます。(ありがとうございます!)なるほど、、確かに夢主よく宇髄さんといますから、、もしかしたら、、? (2020年11月29日 20時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
S_t0606(プロフ) - 宇髄さん宇髄さん宇髄天元様で落ちお願いします (2020年11月29日 17時) (レス) id: 3664f0360e (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ - 氷華さん» まさか続編にいけるとは、、(←亀更新人間)こちらこそ、よろしくお願いします! (2020年11月14日 21時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひいらぎ・いろ x他1人 | 作成日時:2020年11月13日 0時