【銀魂】 吉原の遊女と鬼の話。

やさしい鬼 ページ39

もう片方の手で、土方の腕からすり抜ける。









・・・宮野。








ぬしはウソをつく相手を誤った。







馬鹿な遊女なら、信じると思ったのか？









土方がねたみで二人を引き裂いた、などと。









・・・沖田、ミツバ。




土方がその人を愛していたのはきっと本当。









・・・・・・が。







墓を目の前にした土方の表情。





あの日降り出した雨。









わっちには、土方が泣いているように見えた。









そしてわっちが今まで見た土方の姿。







まだ数度しか会っていないけれど、わっちは知った。









無愛想で、口が悪くて、

・・・・・初めて会った遊女をけなして。









じゃが、



本当はまがったことが嫌いなだけのやさしい鬼なんじゃと。









何があったかなど、知らぬ。





知らなくてもよい。








・・・・わっちは、土方を信じる。









「・・・・・A！？お前、なにを・・・・」







取り出した銃。



向けた先は土方ではなく、









「・・・宮野。
これがわっちの筋書きじゃ。」









しびれを切らしたのか姿を現した宮野。





引いた引き金。






つんざく銃声。









・・・・・赤い花が咲いた。

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