検索窓
今日:142 hit、昨日:41 hit、合計:935,277 hit

抱きしめられた腕 ページ19

昼も夜もない、常夜の吉原。




昨日のことがまるでなかったかのように


わっちは、売り物となっていた。








少しずつ、少しずつ

肌と肌が触れ合い、






男の口が


幾度となく首筋を、鎖骨を、なぶっていく。









男が、背に手をまわした。








少し、力をこめられたのだろうか?








わっちも男の背に手を回そうとした。








・・・じゃが。








「・・・・・・・っ!?」









温かな、力強い腕。
布の擦れる感触。


そして・・・・・









「・・・・・・・・だめじゃ・・・」








誰にも聞こえないくらい小さな声がのどから漏れた。






昨日の事だというに、






今もはっきり思い出せる、土方の腕の中。








まるで、今わっちを抱きしめているのが
土方であるような錯覚を起こす。







「・・・・・・だめじゃ・・・・」








ちがうのに。
ここにいて、わっちを抱き締めているのは
ただの客。





昨日の事は単なる偶然で、
土方と、もう会うことなどないのに。









・・・・・あの男はもうわっちと会うことは・・・・・









「・・・・え」





どうして、こんなに切ないんじゃろ?







「A
どうした?もっと客を楽しませろよ。」

『ああ、A』







呼ばれた名前さえ、重なるのは・・・・・・








「・・・・・・すまない・・
続けるでありんす・・・」









布団の端を握りしめて
偽りの恋愛ごっこ。









頭の中で必死に否定する。









好きになってなんかいない。






心惹かれてなぞいない。








「汚い女」


この言葉を訂正することを、わっちは拒んだ。







・・・・まだ、枷は外していない。









外させていない。






この気もちこそ、偽りなのじゃと。









・・・頭が割れそうになるほど、








何度も、









何度も、









繰り返して。

赤い花びら→←螺旋 土方side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (1740 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1005人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 吉原
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - まず、設定で私を泣かせに来てます(泣)本当にもう、土方さんの不器用な優しさや、遊女の一途さと言いますか、愛を感じられる描写がとても素晴らしかったです!(泣)もう、泣きましたよ(泣)これからも応援してます!! (2021年9月24日 0時) (レス) @page48 id: 5d43e7b889 (このIDを非表示/違反報告)
らむくん@ヴィル様の旦那さんになりたい人(プロフ) - ピギェェェェェェェェェェ (2021年1月13日 12時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
米狐(プロフ) - 泣けてきた(ノ_<。) (2020年5月1日 17時) (携帯から) (レス) id: 598bb1266d (このIDを非表示/違反報告)
チイナ(プロフ) - 泣く。 (2019年10月19日 19時) (レス) id: eb01f26c9b (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - ぶっきらぼうだけど、不器用なりにも優しくて格好良い土方さんに感動し、惚れてしまいました。土方さん好きです、最高です、 (2019年10月17日 14時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピアス | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b19a32b0a01/  
作成日時:2014年3月8日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。