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ーエピソード43 お姫様ー



月島 side.*・゚


練習終わりに山口と坂ノ下商店に特に買う物ないけど
寄っていた



山口はなにかお気に入りの雑誌を見つけたのか
もう少し買うか悩むから先に帰ってという

じゃ、とだけ伝え店をでて、ヘッドホンに手をかける
今日は、お気に入りのバンドの新曲公開日だった



聴きながら真っ直ぐ歩いていくと、信号に止まっているベージュの髪の後ろ姿。


こっちに気づく様子はないし、別に話すこともないし
いいや、と思いヘッドホンを掛けたまま
斜め後ろらへんに止まる



すると小学生くらいの子が
僕の横を走って通り過ぎていく




あんなに走ってるといつか転ぶな


なんて思っていると小学生は信号に止まることなく
道路にパッと飛び出した



『危ない!!!!』


心臓が一瞬ヒュッとなるとすぐ前にいるアイツも
その声と同時に小学生を追いかけ飛び出す









は…?!









僕は何も考えずに追いかけ、引かれそうになった
アイツの腕を掴み、引っ張ると後ろへ倒れる




イッタ…





目を開けるとアイツがこっちを見て驚いている




『!?つ、つきし…』




「このバカ!!!!!」







僕が誰かにこんなに取り乱すと思わなかった
でも、まぁ命が関わることだから幾ら僕でも
助けはするけど





顔を見ると安心したのか、思わず抱き寄せてしまった
ただの男に媚び売ってるそこら辺の女だと思ってたけど、コイツは誰かを守るために自分の危険も知らず
飛び出し助けた。


王様たちの時も、自分には何も得がない練習でも
毎日付き合ってやっていたのか




鼻をくすぐる、甘い香り
入学式の日、感じた匂いと同じ




コイツは少しだけ違うのか
ただのバカ正直なだけなのだろうか





『月島くん…?助けてくれてありがとう』




まぁ、どっちでもいいや助かったなら
キミは、やっぱり誰かに守られるお姫様で
僕に守られとけばいい

と、ニコニコ笑うキミをみてそう思った





「もう暗いし送ってく」



僕はそういい、歩き出すと



『悪いよ、!!1人で帰れるから!』


といい、一生懸命頭を振る




「また死にそうになられたら困るから。



早く行くよ、 A」



『…じゃあ、お言葉に甘えて…


って!名前!呼んでくれたっっ!もう1回!』




「うるさい、そんなに暴れてると舌噛むよ」


その後は初めてたくさん喋った
ほぼAの質問攻めだったけど

クラスの話、山口の話、好きなアーティスト
何故かいつもより心が穏やかだ




A…



キミは、本当に目が離せない

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作者名:りりらら x他3人 | 作成日時:2020年6月11日 15時

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