第七話 ページ8
後ろの方で音がしたので見てみるとナイフのようなものが後ろの壁に刺さっていた。
｢……はっ？え？｣
次に前を見ると恐らくナイフを投げたのは彼だろう。
顔から殺気が滲み出ている。
｢お前……なんでそんな呪いをもらって生きているんだ……｣
｢おっ？転校初日に喧嘩かい？｣
五条さんもなぜか嬉しそうにニヤニヤしている。
｢五条さんも早くそいつから離れてください。呪い殺されますよ｣
｢こちらから手を出さなければ、この呪霊は手を出さないよ。｣
すると、意識がグッとなにかに吸い込まれるような感覚がする。
｢……ご、五条さん……これって……｣
｢一昨日の呪霊が攻撃されたから怒ったんだね。君を傷付けられたくないのかもしれない。｣
｢そんな……どうにか、ならないですか……？｣
だんだんと意識が引っ張られ片方の視界が赤くなってくる。五条さんと会話するのにも精一杯になってきた。
｢君がこの呪霊に意識を持っていかれずに力を使えるようにならなきゃ話にならないよ。自分でどうにかしてみろ。｣
｢マジですか……いきなり厳しいですね……｣
攻撃した伏黒君は僕の攻撃に備えているのか戦闘態勢をとっている。
こうしてる間にも意識は身体の奥底に引っ張られる。
｢君の呪力……Aの中に流れる力をコントール出来たら絶対にその呪霊は操れるようになる。君はその呪いにも負けない力を持っているはずだ。その証拠に普段の君はその呪いに支配されていない。｣
僕の中に流れる力……呪力を感じる。
一度目を瞑り、深く深呼吸をして身体の中に流れるものを感じ取る。
今は呪霊に引っ張られてその力がグネグネと渦巻いて、正常に流れていない。
その渦巻きを反対側に回すように身体の内に力を込める。
すると、だんだんと渦巻きは小さくなっていき、身体の奥底に引っ張られるような感覚も無くなり目を開けると視界も正常に戻った。
｢やっぱり君は呪術師としての才能はピカイチだね｣
伏黒君は僕に攻撃の意思がないと悟ったのか構えをやめ、僕に近づいてくる。
｢……悪かった。急に攻撃して……俺は伏黒恵だ。｣
伏黒君はそう言って僕に手を差し出してくる。
｢…僕は一条A……よろしくね！｣
伏黒君と握手を交わし、用意されていた机と椅子に座る。
一年生は二人しかいないのだろうか……机と椅子は僕と伏黒君のものしかない。
｢じゃあ挨拶も済んだし、Aに本格的に説明していくね｣
｢はい！｣
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作者名：ハクスイ | 作成日時：2019年7月2日 5時
