第十五話 ページ16
目が覚めると、保健室のような場所のベットに僕は寝ていた。
僕は確か……禪院さんと戦っていたはずじゃ……
「目が覚めたかい?」
ベットを囲んでいたカーテンが開き、ベットに座っている禪院さんと隣の椅子に座っている五条さんが見えた。
「五条さん!禪院さん!あの、戦いはどうなったんですか……!?って禪院さん……そのケガ……」
禪院さんに斬られそうになってからの記憶がほとんど僕の中になかった。
だが、禪院さんの怪我を見れば、予想はついた。
「まさか……僕また?」
「そうだね。また、乗っ取られて暴れた。」
五条さんの冷たい声が保健室に響く。禪院さんの綺麗な顔は片側だけ痛々しく腫れていた。
「す…すみません!禪院さん!僕、貴女の顔を!」
「顔だけじゃねぇーよ。腹も蹴られたし、めちゃくちゃ痛てぇ」
また、知らない間に人を傷つけてしまった。五条さんが居なかったら僕は恐らく禪院さんを殺してた。
「ご……ごめんなさい…」
「別に……あんだけ真剣にやってたらこういうこともあるだろ」
禪院さんはそう言って優しい目を僕に向ける。
やめてくれ……僕にその優しさを貰う資格はない…
僕は勘違いしていた…一度抑えたからってまた抑え込める確証はなかったのに…強くなったと勘違いしていたんだっ……!
「ご、五条さん……僕は…その」
「やめるか?」
「えっ?」
「君が今、ここで呪霊に負けて君の人生から逃げ出すのなら僕は今すぐ君を殺す。これは上の命令でもある。呪霊を制御出来ないようなら即刻抹殺せよとね」
「でも…でも僕は!また…殺してしまう所だった…僕がここに居ると五条さんがいない所で殺してしまうかもしれない!」
「怖いのか…?呪霊が…」
恐怖……違う……これは諦めだ……僕は強くはなれない……そうだ。今まで平凡な男子高校生だったんだ。
それを呪霊に乗っ取られてなんやかんやでこんなことになっただけだ。
僕がさっさと死刑になれば、僕の中の呪霊も消えて誰も危険にさらされることはない…
「僕、君に言ったよね。強くなれって……」
「……はい……」
「君はさ、守る力を持ったんだよ。呪霊に襲われる人々を守る力が。」
「守る……力?」
「そう。君は呪霊に殺される人を見た事はあるかい?為す術もなく、無惨に殺されるんだ。力を持たない人は呪いは見れないかも知らないけど、殺される人は必ず居る。呪霊から守るのが僕達呪術師だ。」
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時