LOVE BOX -北藤-

＊ ページ19

焦がさずに焼けた鮭。

ごまドレッシングをかけたサラダ。

居酒屋の料理に負けないように、頑張らなきゃ。

お料理の本で、ひろの胃袋を掴まなきゃ。

「ただいま〜」

玄関へと走る。

「……っ、おかえり…っっ」

「太輔！？なんで泣くんだ？ちゃんとメール見たよな？既読になってたしっ」

たいぴが泣いてるのを見て、オロオロするひろ。

「帰って…こないと思ったっ」

「なんでだよｗ帰って夕飯食べるって…メールでする会話じゃないよな。一回、家に帰って外出ても

よかったけど、それじゃ、出られないと思ったんだ」

「たいぴが、脅すから…「違う」

「え？」

「俺が、太輔と一緒に居たいから」

そんな…。

「夢みたいなこと…言うの」

「夢じゃなくて現実だけど？」

「おかしいよ…何、その態度」

「何が？とにかく腹減ってるから、キッチンに行かせて」

手を握られてドキドキしたの、どれくらいぶりだろう。

「お、美味そ〜」

席についたひろ。

慌てて、ごはんを用意してひろに渡す。

「いただきま〜す」

ガツガツと、たいぴの作ったおかずを胃に詰め込んでくれる。

「居酒屋で、食べなかったの？」

「夕飯は家で食べるって言ったじゃん。本当に飲んでただけ…って、ん？なんで、居酒屋だって知っ

てんの？」

「…ＧＰＳ」

「ああ。調べたんだ？」

こんなの、普通じゃないよね。

ひろのこと信じてないわけじゃない。

「来たんなら、中に入ってくればよかったのに」

「ひろの空間なんだから、たいぴが入ってくのはおかしいでしょ」

「なんで？皆に紹介したのに」

サラッとすごいことを言う。

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