5.不思議な少女 ページ6
クロロside__
それは突然起こった
好物のプリンを盗って本拠地に帰る途中
目の前にはただのゴミしか無いはずだが、突然少女が現れた
今は眠っている様子だがいつからあそこに居た?
俺が気づかないなんてことあるか?
いや、ないな
念の使い手ならまだしもあれはただの一般人にしか見えない
「……こ?」
どうやら起きたようだ
声は上手く聞き取れなかったが、もの陰に隠れてその様子を観察する
あの少女はここらでは見ない服を着ていた
背丈も服にあっていないようだ
だが、あの輝くような白髪はとても綺麗だと思った
太陽に照らされてとても綺麗に輝いていた
「よ……け……笑」
また何か言っているようだがここからでは聞き取れない
仕方ないそう思い俺はあの少女に向かって歩き出す
「君…どこから来た」
少女が勢いよく振り返った
余程驚いたんだろうか
見開かれた目は金色でこれもまたとても綺麗だと思った
少女は何故か涙を浮かべて下を向いてしまった
そんなに俺が怖かったのだろうか…
このまま泣かれても困るしどうにかしないとな
「おい、大丈夫か?」
言ったあとで悪いが怖いと思っている相手から言葉をかけられたら更に怖いだろうか
少女は驚いて目をまんまるに見開いている
これは逆効果だったかと後悔する
顔には出ていないが俺は内心かなり焦っている
こんな少女の相手なんかしたことないからだ
マチや他の奴とは幼い頃から一緒だったから大丈夫だが
流石の俺でも会ったばかりの奴の心情なんて読めるわけが無い
「大丈夫です!」
少女はニコッと笑いながら言った
怖くはないみたいだな
ほんの少しホッとしている自分がいる
話を聞いたら迷ってここに来てしまったらしい
多分嘘だな
ここは迷って入ってくるとこではない。そしてなんで眠っていたんだ?
嘘をついている理由でもあるのか?
その後名前を聞いたらAと言うらしい
俺の名前を教えたら、クロロと呼んでいいかと聞かれた
初対面の奴を呼び捨てとはなかなか肝が座っている
Aと歳が近い奴もいると言ったら悩んだ結果着いてきてくれるみたいだ
Aは不思議な奴だ
だから傍において観察してみたい
パクノダは今はいないが近いうちに本拠地に来るはず
その時にでもAの記憶を見てもらうとしよう
俺はさっきのように穏やかな笑みをしていたはずだが
Aはどこか俺を疑っている様子だった
洞察力は良いみたいだ
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作者名:てん | 作成日時:2021年8月28日 22時