ヒロインになりたい！【SEVENTEEN】

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A side

JH「ちょっとこっち来い」


やめてくれ
今何らかの拍子に涙が出そうなんだ。
今はユンジョンハンのテンションに合わせる元気も何も無いんだ。
だから…だから…


JH「何かあった？さっきからお前変」


顔を覗き込んでくるユンジョンハン。
泣きたくないのに
優しい目で、優しい声でそんな風に聞かれたら


『うっ…うぅ…』


JH「ん？」


『ジス先輩がっ…ジス先輩がぁぁああ(泣)』


付き合ってもないから
ジス先輩の交友関係にどうこう言うつもりは毛頭無い。
でも…それでも…最初で最後にするから言わせて。


『うぅっ…ジス先輩の…馬鹿ぁぁあああ(泣)』


JH「は？どうしたんだよ…」


『ジス先輩……っ…ソアン先輩とっ…倉庫で』


JH「うん」


『ちゅーしてた…』


JH「うん…………………は！？！？」


ユンジョンハンは意味が分からないという顔をしていた。
でもよく考えたらそうだ。
ソアン先輩はジス先輩の好みドストライク。

いつ付き合っても別におかしくなかったんだ。


きっと昨日とかも……
考え出したら止まらない涙。


JH「…」


『っ！？』


誰もいない空き教室。
座り込んだユンジョンハンに手を引かれ、そのまま腕の中に収められる。


『ちょっ…』


JH「仕方ないからこの学校の王子が胸貸してやるか〜」


『………ユンジョンハン…部活…』


JH「今日は俺が眠いので部活休みで〜す」


そのままギュッと抱きしめられる。
酷く優しい手がそっと頭をぽんぽんとすれば、これ以上泣きたくないのに無性に泣きたくなって


『…ごめん』


JH「ん、泣いとけ」


そのまま私は泣き続けた。
ユンジョンハンは時折「大丈夫、大丈夫だから」と言っていた。

何が大丈夫なのかは私も分からなかった。
でも、とても安心した。


… … … … … … … … … … … … …

JH side

『ｽｰ…ｽｰ…』

聞こえる寝息。
コイツ…泣き疲れて寝やがったな…


JH「ま…いっか」


サラサラの色素の薄い髪をそっと撫でる。
真っ赤な目で眠っているAはとても小さく感じた。


俺だったら泣かせないのに…


なんて感情を飲み込む。


守りたい、泣かせたくない。
でもコイツの気持ちの主導権を握ってるのは紛れもなくジスで…


やるせない想いが胸を占める。


『…ユン…ジョン…ﾝ…』


寝言で俺の名前呼んでるのかよ
なんて思ったら単純にも緩む頬。


JH「あーあ…こんなつもりじゃなかったのに…」

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