同志の思いを胸に【BANANA FISH】 (ページ6)

今日:5 hit、昨日:21 hit、合計:9,707 hit

19-5 ページ6

『で、お前のご主人様はどこに行ったんだ？』

「Pi！」

『OK。ロスにはいるんだな？』

「Pi〜！」

すり寄ってくる鳥、チコに軽くキスを落とすと「Pi〜…」ともじもじと照れ始める。ペットって飼い主に似るって言うけど、本当に似るんだな…

「姉さん、この小さな鳥は？」

『チコ。友達の相棒さ』

「その友達は？」

『ロスにはいるってさ。今メールきた』

チコを向かわせたと言うメールに『了解。無事合流した』というメッセージと夜景とチコを写した写真を送りつけた

『さ、チコ。お前のご主人様が来るまで一緒に行動しようか』

「Pi！」

ピョンピョンと肩の上で飛んでいるチコを指の腹で優しく撫で、夜の街、ロス・アンジェルスへトラックで移動を始めた

ーーーーー
ーーー
ー

ヤシの木が立ち並ぶロス・アンジェルス街路

トラックは爽快に走っていく

ゴクゴクと冷たいミネラルウォータを飲み、半分ほど残った水を頭からぶっかけて熱くなった自分の体を冷やす
チコも小さな体をプルプルさせ、濡れた髪の毛をかきあげると、伊部さんがこっちにカメラを向けてきた

チコと英二、私の3人で写真を撮ってもらいながら帽子を被り直す

「ヘーイカーノジョー！インスタやってる？アカウント教えてくんなーい？」

『ストリートがなんでインスタやってるんだよ』

「Pi」

ふへーと小さくなるチコは英二の頭の上でくつろぎ、帽子を日焼け対策として顔に乗せながらいると「気楽な奴だな」というマックスのブツブツとした文句が飛んでくる

「観光に来たわけじゃねーんだぞ」

『どうしたんだよ、マックス。やけにイラついてんじゃん』

「そうだぜ。これから行くところに関係あんのか？」

「…うっぷ、うるさいな！」

『お、おい！吐くんじゃねーぞ!?』

蛇行したトラックに慌てて運転席を覗きながら言えば、チコも「Pi Pi！」と顔を青ざめて訴える

「あぁ…」

「わーーーい！カリフォルニアだーーい！」

『てめェはもうちょっと落ち着け！20歳！』

大きな声ではしゃぎまくる英二にすかさず突っ込むと、「だってカリフォルニアだよ!?」とテンションの上がったキラキラとした瞳を向けてくる

一言言わせろ

知るかーーッ!!