26話 取引 ページ32
『んじゃまず、英二を起こしてもらおう。針麻酔なんだろ？妙な真似したら、ドカンだからね』
握った拳をパッと開くと、月龍はじっとこちらを見ている
その月龍の横に立つ華龍とやらが、視線を切らした時後ろからゴルツィネの部下が飛び掛かって来た
「！やめろ!!」
オーサーの声と共に「え？」というゴルツィネの部下が、宙ぶらりんになる
「ガッ…！う……あ"」
「ぐ、る…じぃ」
「…!?」
『ワイヤーぐらいでんな大袈裟な』
宙ぶらりんになり、足がついておらず息ができていない男たちを一瞥した後『さあ、どうする？』と鋭く吐き捨てる
華龍は冷や汗をかき、「どうやら、キミの技量を見誤っていたようだ」と言う。才能開花したんだ、仕方ないだろ
「………」
月龍は静かに英二の首筋に針を突き刺し、ゆっくりと英二から離れた
小さく唸り始めた英二は、目を開けると「姉さん？」と目を瞬かせた
「俺がわかるか？サムライ・ボーイ」
「オーサー…！」
『…………さて、英二も起きたことだし…』
ソファに座り込み、話の流れをこちらにもっていかせるように視線をこちらに集めさせる
ゴルツィネや華龍は無言でこちらを見つめると、部下たちに何もするなと言う指示を飛ばす
「姉さん、ここは」
『簡単に説明すると、そこに座ってるじいさんの屋敷』
「えっ…」
『そんでもって、ここに連れて来たのはあいつとこいつ』
「えっ」
日本語でゴルツィネ、月龍、ショーターに視線を向けながら説明すると、英二は「どういう、こと？」と日本語で聞いてくる
『それについては、たっぷりちゃんと教えてやるから今はとにかく…チャックだ』
黙ってろという意味を受け取った英二は「う、うん」と戸惑いながら頷いた
私はしっかりとそれを見た後、ソファにもたれ『まずは、ショーターを放してもらおう』と提案すると、ゴルツィネは「まずはそちらが先にしてもらおう」とまだ宙ぶらりんでもがいている男たちを見ている
『いいのか？あんたが欲しがってる頭脳はまだ、“こちら”にあるんだぜ？』
「………………」
『別にいいよ？ここでこいつら、絞め殺せばいいだけだからなァ？』
「「あ…っガッ！」」
グッとワイヤーを強く引けばさらに呻く声が上がる
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月2日 9時
