狩られる者。② (ページ39)

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第三章第二十九話ページ39

今、俺の下にはAがいる。

久しぶりのAを見て思わず手を出してしまった。

真っ赤になるのかなと思いきや、百面相でなにか考え事をしていた。
多分この状況を整理し、理解し、一番的確な対処をと考えているのだろう。

俺は本能のまま、こうやってしたのに。

こいつはこうやって、私は大人だからと。

駄目なのかよ。

俺が子供だったら。

こんな顔をさせてしまった自分の無力さに腹が立ち、Aから退いてゴンのベッドに横になる。
ここからだったら、Aは俺の顔を立ってしか見れないから。

俺もAの顔を見ることが出来ないから。

Aは立たずに布団にくるまり、「私は大人、キルアは子供だもん。」と言う。

ほら。
大人だからって逃げて。

むかつく。

今の俺の顔を見られずにすんでよかったと思っている。
すごく、酷い顔をしていたからだ。

★

「お世話になりました！」

「またいつでも帰ってきてね。」

あれから一週間後くらいに、私達はこのクジラ島を出た。ヨークシンで行われるオークションに参加するため....それに、五人でまた揃うため！

海風が私たちの髪をなびかせた。

あれから、何もなかったかのように私とキルアは接している。
なんだろう....どこか＿＿＿＿

この、気持ちは駄目だ。
駄目なんだ。
抑えて、大人なんでしょ？

「A！ヨークシンってあとどれくらいでつく？」

ゴンの質問で我にかえる。

「う、うーん、八月十三・十四くらいかな？」

電車にも乗らないといけないしと船に揺られながら私達は地図を見た。

「今はここだから..。飛行船には乗らなくてもいいかな。」

「うん！よーし！あともうちょっと！」

キャっキャとはしゃぐゴン。
あー、これだよこれ！可愛い！
私は「そうだね～」とゴンの頭を撫でた。

「おい、兄貴からアドレス来たぜ。」

私達はすぐにキルアのもとへ行く。

「ヨークシンついたらすぐパソコン開けるぞ。」

「「うん！」」

そして、八月十四日にヨークシンについた。