狩られる者。② (ページ23)

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第三章第十三話ページ23

[キルア目線]

カストロと話している最中、Aが俺を呼ぶ声がした。
こっちこっち！と呼ぶと足音がこちらに近付いてくる。

「キルア！い....た。」

Aは俺ではなく真っ先にカストロを見た。
そして、俺は耳を疑った

「お父....さん」

お父さん？

「私は君のお父さんじゃないよ？」

Aは、はっと我に返ると「す、すみません。失礼します。」と言って走って行ってしまった。

「彼女、まるで死人でも見たような....そんな顔をしていたね。」

にっこり笑うと「サインだっけ？」と話を続けた。

★

空気が薄い。
いくら空気を吸っても酸素が入ってこない。
過呼吸。

私は壁にもたれかかり、何とか抑えようとするもなかなかおさまらない。
走って追いかけてきてくれたキルアが私を見つけ、背中を擦る。
すると不思議と落ち着いてきて、息もよく吸えた。

「A、どうしたんだよ。」

「はは、いや、カストロさんが....一瞬お父さんに見えただけ....。ビックリしたー！」

今思うと、見た目は目元と雰囲気以外そんなに似てなかった。お父さんの方が老けてるし....

けど、声が似ていた。いや、一緒と言っても可笑しくない。

多分目を閉じてあの人の声を聞いていると頭が可笑しくなりそうだ。

私は立ち上がると、「行こう。」と言い、観客席に向かった。

★

見れば見るほど....カストロさんがお父さんに見えてしまう。そして....

「予知しよう。君は踊り狂って死ぬ♤」

カストロさんの全身には十三本のオーラがつけられている。駄目だ、今のままじゃカストロさんが死んじゃう。

また....私は！！

カストロさんに向かってトランプが飛んでくる。

左腕に二枚
右腕にも二枚
そして全身に九枚

カストロさんの声がかすかにし、カストロさんは地面に倒れた。

「君の敗因はメモリの無駄使い♡」

私は思わず立ち上がり、ステージに身を乗り出す。

「馬鹿！何やろうとしてんだよ！」

「今なら！今ならまだ間に合う！私のリトルリカバリーで！」

「ゴンの骨折も治せなかったのに！あんなの治せるわけないだろ！」

「でも！！」

「アイツはお前の親父じゃねーんだぞ！！」

キルアの言葉で目が覚めた。
私、何やってるんだろう、と。

「ごめん。キルア....。もう部屋戻るね。」

「A！」

キルアの呼ぶ声がしたが、足は自然と部屋へ進んでいた。