第三章第八話 ページ18
言ってさっさと自分の部屋に戻ろう。
そう考えた私はヒソカにされたことを言う。
「....殺されそうになった。」
「は？」
「トランプが喉に刺さりそうになってね。まぁ、何とか今のところ殺されずに済むらしいけど...。」
何でそんな、大事なこと！とキルアは私の肩を揺する。
「大丈夫！大丈夫！アドレス教えたらやめてもらえたし！」
あはは！と笑う。
駄目だよ....まだ。キルアが目の前にいるんだから。
ゾルディック家にいた時だって我慢できたじゃないか。
「もう話したから私行くね〜」
そう言うとまたガシッと腕を捕まれた。
下を向いているからどんな顔をしているかわからない。
「なに〜？キルアくんは一人じゃ寝れな....へ？」
キルアはぎゅっと私を抱き締めた。そして頭を撫でる。
「俺、途中から聞いてたんだ....。俺の部屋で兄貴とAが話してたこと。」
優しく優しく、壊れないように頭を撫でるキルア。
私の方が少し背が高いから、若干屈んでる。
「よ、よしよし。」
ちらりと横を見ると耳を真っ赤にしてた。
何やってんの....私の方が年上なんだよ....？？
なのに....
「....怖かった。ほんとに殺されるんじゃないかって...。」
久しぶりに頭を撫でられた....
ポロポロと溢れてくる涙。
イルミの部屋にいるときもそうだった。
キルアを助けなきゃと思う半分、押し倒された時や薬でうとうとしたとき、とても怖くて仕方がなかった。
いや、イルミの部屋よりもシルバさんの部屋の方が怖かった。
だからゾルディック家から出て、近くのホテルで休憩したとき、レディーファーストとか言って先にお風呂に入ったが本当は涙腺の限界だったのだ。
その時は声を押し殺して泣いた。
「キルアぁ〜私、もっと強くなりたいよ..！」
けど、キルアに頭を撫でられると安心して、まるで子供のように泣いた。
「...一緒にウイングさんのところで修行しよう。一緒に強くなろ。な？」
キルアの声は優しかった。
心地よかった。
私は九歳も年下の男の子の肩で泣き、気付いたら寝ていて、気付いたらキルアのベッドの上だった。
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作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年9月1日 14時
