アンタの作戦には乗らないから。【音駒】

５の作戦 ページ5

「兄ちゃんの言う通り、あかりちゃんが動き始めました。」


「お、マジか。」









　
私は椅子に座っている兄に更衣室でのことを話した。









　
「ふむふむ。つまり明日は早めに行けばいいと。」


「対処法をお願いします。」









　
と、私は嫌でも頭を下げた。









　
「もし、何か“信頼を失うような出来事”だとしても俺らには無意味だからな。」


「え？」





　
「俺達の絆は深いんだ。皆、Aのことを信じてくれる。」









　
そう言って安心させてくれる。





　
しかし、だ。何かあった時の“証拠”を残しておきたいと思うのは私だけだろうか。









　
「まぁ、無難に録音中のままポケットの中に携帯忍ばせておくか。」


「わかった。」









　
確かに無難だ。これで少し不安は和らぐ。









　
「にしてもまぁ、Aって大人になったよなぁ。」


「深く読み取れば、変態だね兄ちゃん。」


「は！？深い意味はねぇよ！」


「あっそ。」









　
少し照れながら喋っているこの人は気持ち悪いと思った。









　
「あ、じゃあ今日一緒に寝る？」


「殴っていい？」


「なんでそうなるんだよ！？」









　
あーあ。こうして会話してくると、イライラする気持ちは増していくが、









　
「兄ちゃんって彼女作る気ある？」


「今はない。そっちは？彼氏作る気か。」


「私もない。」


「なんだそれ。」









　
楽しい、という気持ちも増していった。

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