アンタの作戦には乗らないから。【音駒】

４０の作戦 ページ40

「ごめんなさい。」


「…え。」









　
私はすぐ教室に戻って頭を下げた。あかりちゃんの頬には湿布が貼られていた。痛そうだった。









　
「だ、大丈夫だよAちゃん。ね？あかりちゃん。」


「！は、はい。私も…すみません。」









　
待て待て。その“すみません”ってちゃんと謝罪する気はあるのか。いや、そもそもその言葉に謝罪という意味は込められていないのかもしれない。


…謝られても、許さないけど。









　
「ごめんね、あかりちゃん。痛かったよね。」


「…っ。」









　
私は“心配しながら”彼女の様子を見る。そうしたらあかりちゃんは、キッと睨んできた。









　
「本当、ごめんねー…。」









　
私は完全に煽っている言い方をしてしまった。私も性格が腐ったな、と。









　
＊









　
「あかりちゃんのほっぺは。」


「…知らない。」


「あーAがしたんだー。」


「ちょ、」









　
その後、練習試合を何度かして休憩時間。


やはりあの頬に皆の視線がいってしまうのだろう。チラチラと見ている。そして察しのいい鉄朗が、犯人を当ててしまった。









　
「だって…許せなかったから…。」


「？」









　
これは、言ってしまおう。









　
「兄ちゃんとお揃いのキーホルダー、壊されちゃったから…。」


「！」









　
その時。鉄朗は私の頭をポンポンと叩き、こう言った。









　
「またお揃いの買うか！」


「…っ！……うん。」









　
悔しい。これは私だけじゃない。兄ちゃんだって辛いはず。

４１の作戦→←３９の作戦

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す