アンタの作戦には乗らないから。【音駒】

２２の作戦 ページ22

ドアを開け、まず右足の1歩。







　
私の真正面に彼女の姿。後ろ姿で表情が見られない。







　
そこも作戦のうちだったのだろう。









　
「あかりちゃ_____！」









　
私は名前を呼んだ。呼んだけど、最後まで言うことができなかった。









　
「！」


「しまっ…！」









　
ドン。

　


鈍い、そんな音がした。




　
あかりちゃんは倒れた。









　
私はギリギリ立っていられる。









　
「…嘘、でしょ。」









　
そう。今の状況。


ドアを開けたすぐの床。水浸しであった。







　
それに気づくことが出来なかった私は、スルッと足が滑る。








　
そして正面に立っていた、あかりちゃんの肩をポン、と。


ポン、と軽くだ。









　
倒れるようなことではない。









　
しかし、なぜだ。


なぜ、床が水浸し？それも彼女の作戦ということなのか。









　
「あ、あかりちゃん…。」









　
恐る恐る声をかける。すると、









　
「引っかかってくれましたね、先輩？」


「…。」


「いやぁ、まさかこんなうまくいくとは思ってもいませんでした！あはは！」









　
あぁ、はいはい。たくさん言って構わない。


録音という名の証拠を残しているから。









　
「ごめんね、あかりちゃん。足元見てなくて。」


「…チッ。」









　
平然とした様子で言うと、短く舌打ちをするあかりちゃん。









　
______このままだと、誰も来ないだろうと思っていたのに。まさか。

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