アンタの作戦には乗らないから。【音駒】

３の作戦 ページ3

「さて。わかっているだろう、鉄朗。」


「んあ？何が。」





　
「察しが悪い、バカ尾。」


「誰がバカ尾だ。」









　
昼休み。



　
私は主将である鉄朗を人気の少ない外に呼び出した。







　
決して深い意味は、ない。いや、あるかもだけど。









　
「私が呼び出したのには理由があります。」









　
ふわっと優しい風が私の長い黒髪をなびかせる。









　
「どうせあかりちゃんのことだろ？」


「察し良いじゃん。」


「まぁわかる。俺でも。」


「そうです。あかりちゃんのことで呼び出しました。」









　
私達は近くにあった、木で作られたベンチに座る。









　
「仕事をしてくれないんだよ！」


「知ってる。」


「え。」


「え？」









　
今、鉄朗はあかりちゃんが仕事をしていないことを知っていると言った。









　
知っているなら、なぜ注意をしてくれないんだろう。


　


私も何回か言った。言ったけど全然聞いてくれなかった。









　
「主将からも何か言ってよ。」


「まあ待て。」


「？」





　
「もうそろそろあかりちゃん、何か動き出しそうかなと思って。」


「どういうこと？」


「今は我慢しろ。」









　
と、鉄朗は手を私の頭にポンと乗せた。









　
「やり返しは、ちゃんとしたいしなー。」


「うわ、ちょ、！」









　
頭に乗せた手でぐしゃぐしゃと私の髪を乱す。









　
「この髪色、ホント誰に似たんだろうな。」


「うるせ。」

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