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椅子を後ろ向きにして座り、足を組むとモナ・リザと目が合う。
整いすぎて怖いと思っていた顔も、もう見慣れてしまった。よく見ると表情は違うのだ。顔の半分を隠して見て、反対側も同じことをして見ると 怒っているかのような表情と穏やかな表情。受ける印象が全く違う。かの有名な画家は何を考えていたのか どちらにせよ彼女と同じ“ 天才 ”なのだろう。
「 すまない、遅れて…って何モナ・リザと見つめ合ってるんだ？ 」
「 …ふふ、嫉妬？ 」
「 …なっ、違う！ 」
立ち上がり、林檎のような頬を押さえる彼女に近づく。何を想像したのか後ずさる彼女は見ていて飽きない。
「 ほら、早く 」
「 は、はい！ 」
慌てて椅子に座り、端末を取り出す。映し出されたのは美術室を背景に笑う瀬名泉。こんなに緩んでいたなんて 少し気恥ずかしささえ感じた。思えば小さい頃両親が嬉しそうに見せてくれた雑誌の表紙の自分 ファンに向けた笑顔 それらとは全く違う。
「 てか、写真あるなら俺いる必要なくない？ 」
「 あ、ある！ 」
「 何、五文字以内で答えて 」
「 え！？えっと、えっと… 」
いきなり鉛筆を放り出して慌て始める彼女を見て妖しく笑った後。
「 はい、タイムアップ。俺帰るからぁ 」
「 えぇ！？ 」
止めようとする彼女を背にドアを閉めれば叫び始める。軽くホラーだよねぇ。
「 うわあああぁぁぁああああ！！！ 」
しばらくすると叫び声は止んで静寂が訪れる。どうしたのか と中を確認するとしゃがみこむ彼女。
「 冗談だよぉ、なに本気に… 」
「 せ、な…… 」
震える彼女の髪に触れれば嫌な予感と共に戸惑い。顔を上げた彼女の目元は濡れていたから。
「 こ、怖い…… 」
「 … 」
「 一人は、怖い…… 」
夜暗い中、一人だったら怖いだろう。しかし、彼女が言いたいのはそういうことじゃなくて。
声楽科には彼女の友達、否 彼女を理解してくれる人が存在しない。怖い という感情を植え付けてしまったのは自分なのだ と初めて理解する。
「 大丈夫、もう一人にしないから 」
「 お化けがでるかもしれないじゃないか！！ 」
「 お化けなんかいないから、ほら立ちなよぉ 」
安堵の表情を浮かべる彼女に手を差し出す。
「 …ところで腰が抜けてしまったのだが 」
「 俺帰るねぇ 」
「 瀬名ああぁぁぁああああ！！ 」
相変わらず下の名前では呼ばないのだろう。彼女の滑稽な姿を写真に収めた。
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ねむい(プロフ) - minatoさん» そのように感じていただきとてもうれしいです；；お読みいただきありがとうございました。細かい点まで読んでいただき、嬉しい限りです。これからもどうぞよろしくお願い致します。 (2017年12月26日 14時) (
レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
minato(プロフ) - コメ失礼します。お話、すごく良かったです...!ねむいさんの表現や、情景描写がすごく綺麗でせないずの精巧な美しさというか繊細な美しさ的なもの(語彙力不足)と表現によって引き出された情景や登場人物の美しさに感動しました。一言でいうと好きです((お疲れ様でした! (2017年12月26日 14時) (レス) id: 049240713a (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - しみ猫さん» とても嬉しいコメントありがとうございます、そのように感じていただけて嬉しい限りです。お読みいただきありがとうございました！ (2017年12月13日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
しみ猫(プロフ) - 感動しました、夢主の天才だけど、とても人間らしくて、読むのがとても楽しかったです、すばらしい作品をありがとうございました。 (2017年12月13日 23時) (レス) id: 48eca2380d (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» ありがとうございます〜！いえいえ、拙い文章ですが楽しんでいただけたのなら幸いです；； (2017年12月10日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2017年12月6日 18時
