桜麗華学院の〈桜国〉

19話 ページ45

──Side花蝶


手を繋げば無敵になれるのかな？つまりそれって、もう勝ち確定じゃん！やったぁ！！

ちらっと蒼佑を見てみる。
あれっ、何でそんな険しい顔してるんだよー。

「ねーねー蒼佑？」

「黙れ、俺は今から【無敵状態】の姉妹の所に行ってくる。お前はここで待ってろ」

「えっ、俺その間にもし鬼が来ても逃げられないよぉ」

蒼佑は何も言わない。
どうしてだろう。何か話でもあるのかな？

て言うか、さっき姉妹は両方鬼って言ってたような。話が噛み合わないなぁ。

「分かった、早く帰って来てよー！！」

その蒼佑の後ろ姿は、もう見る事が出来ない気がした。


──Side赤井


さあ、やってやろうじゃねーか。
真理子、お前を必ず鬼にしてみせる。

「何だよ、赤井ィ、今更鬼のアタシ達に何か用ってんかい？」

「ああ。実は俺さぁ、鬼なんだ」

風が吹く。視線を感じた、きっと女王の視線だろう。校舎の窓に目を向けると、白髪の女がいた。

「はっ、嘘は付かないでくれ。アタシ達はあと五分になったら花蝶と新垣を捕まえに行くんだよ！」

赤髪を揺らしながら偉そうに言う真理子。
おっかし、鬼になるのはお前だよ。


「じゃあ、どっちが本当か試してみよっか」

出来る限りの作り笑顔を。
そして出来る限りの恐怖を。

瞬間移動かってぐらい早く真理子の後ろに回る。そして、「捕まえた」と叫んだ。

『ただいま、赤井から真理子に鬼が移動しました。
残り時間は七分、ラストスパートです』


「───ッ！？」

動揺する真理子。ははは、作戦大成功。
アイツ妹を信用しすぎだよな。超ウケる。

「つまり、鬼はアタシと……誰なんだ？」

真理子は自慢の顔を歪め、花蝶をギロリと睨んだ。そして、智子の手を引いてダッシュで走って行く。

「うわぁぁぁ、てめぇ、ぜってー許さねぇ。代わりにお前の大切な仲間の花蝶を狙ってやらァ！」

「それは駄目だ」

無視して走って行く。
もちろん俺も走って行く。


花蝶に鬼を移される訳にはいかねーんだよ！

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