桜麗華学院の〈桜国〉

14話 ページ18

姫香は今桜国の部屋にいる。
そうね、まだ足りないわ。まだまだ、苦しめてやりたい。

「ねぇ皆さん？聞いてくれないかしら」

全員の視線がこちらを向く。私の事を恐れる視線、面倒くさいと目を細める人もいた。

本当ならランクダウンさせたい所だけど、私は今そんな事に付き合ってはいられないのだ。


「姫香は私の幼馴染にして桜国の姫を傷付けた」

拳をぎゅっと握りしめる。

「魔女の彼女は三日後に裁判を受けるわ。でもその前に、もっと彼女を苦しめてやりたいのよ」

辺りがざわ付く。

「どうやってですか？」一人の女子が手を挙げた。


「そうね。皆さんの癪に障る様ならやらなくてもいいけど、この一日、彼女と仲良くしてくれないかしら」

うげー……と吐く真似をする人がいたが、無視。

「そして明日は彼女の事を今まで以上に酷く接するの。彼女は侍女にして、【魔女】なのだから──」

ねぇ？と妖しい笑みを浮かべれば、全員頷く。


「それにしても、優しくなりましたわね、女王様。以前の貴方だったらきっと全員強制参加でしたわ」

上流階級の女子が密かに言う。

「ふふっ、いいお手本になったわ」

「？」女子達は首をかしげる。


「優しくなったのは姫香のおかげよ。
あんな悪い人にはなりたくないから、ね──」

15話→←番外編

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す