夜の水晶【文スト】【実況者】 (ページ6)

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渦巻く違和感ページ6

いい職場だな。

敦は率直にそう感じた。

白い無地の壁には汚れが一切なく、ワックスがかけられている木目の床にも塵一つ落ちていない。入口近くにある大きな窓硝子も透き通っていて手入れが行き届いていることが良くわかる。
小さなカウンターには小さなアロマディフューザーが淡い光を放ち居座っている。それから出てくる仄かな香りも甘過ぎず何処か落ち着くような。そんな香りで室内は満たされている。

女性が羨むような、御洒落な職場。

「わぁ…………。素敵ですわ……！」

隣でナオミが目を輝かせている。

やはり年頃の女の子はこの様な雰囲気に憧れを抱いて仕舞うのだろうか。

(……あれ？)

ふと敦が何かに気づく。

「すいません花園さん。」

「どうしましたか？」

花子が振り向く。

「どうして事務員さんどころか受付まで居ないのですか？」

感じたことをそっくりそのままぶつける。

この空間には外から入ってきた四人だけしか存在していない静かな空間であった。

「……他の方々は皆、外回りか昼食に出ています。安心してください。」

花子がにっこりと笑う。

未だ胸を渦巻く違和感が敦を混乱させた。

それでも敦が花子に聞かなかったのは
その笑顔が冷たく分厚い仮面に見えた気がしたからであった。