ヒロイン!103 そらるside ページ10
そ「おわ…った…」
書類から顔を上げてみると、部屋の中は仄暗くなっていた。
一瞬まだ朝なのかとも思ったけど、そんなはずはない。床に積み上がった完成済みの資料の山、これは1時間やそこらでできるものではない。
肩はバキバキだし、ずっと座ってたせいで背中も腰も痛い。
それにものすごくお腹すいた。
這い出すように部屋から出ると、なぜかまふまふにおんぶされ、買い物袋を持たされているヴァンプがいた。
ま「あ、そらるさん。後処理終わりました?ヴァンプとお昼行った後、散歩がてら差し入れ買ってきたんですけど。」
ヴァンプが手に持ってた袋をひょいと差し出す。
袋の中身は、ジュースやミネラルウォーター、ゼリーやサンドイッチが入っていた。
そ「今ちょうどご飯食べたいと思ってたとこだったんだよ、ありがと。」
ヴァンプの頭をぽんぽんと撫でると、「わたし子供じゃないんですけど」みたいなジト目を返された。
なんか歌詞太郎と同じような目線向けられてる…??え、しんど。
「…姫さん暴走したの、わたしのせいですよね。すみません。手伝えることあったら任せてください。デスクワークならできるんで。」
それだけ言うとふい、と目線を逸らされた。
これ、計算しないでやってるんだよね。こうゆう、ちょっと素直じゃない感?が男心くすぐるんだけど。あー、末恐ろしい子。
ま「差し入れ買おうって言い出したの、ヴァンプなんですよ。商品もほとんどヴァンプが選んでてっ…って、痛いよヴァンプ!」
まふまふが少し嬉しそうに俺にそういうと、ヴァンプは恥ずかしかったのかなんなのかまふまふの肩口をつねった。
はー、落ち着け俺。相手はまだ未成年。18以下。結婚はできるけど手を出したら流石にやばい。あーでもこれは。
ふとヴァンプの左目と目が合う。きらきらと電気が反射する黒い瞳。とっても綺麗な宝石。
「無理しないでください、そらるさん。」
ではこれで、と言うとヴァンプはまふまふに運ばれて行ってしまった。
無理しないで、ってなんだそれ。それ言うならどっちかっていうとお前の方だろ。
そ「…わざわざ食べやすいものばっか選んでくれたんだよね、これ。」
優しさに満ちたレジ袋。
どんな食べ物や飲み物より、その配慮でお腹が満たされた気がした。
439人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神咲のあ(プロフ) - ももさん» ももさん、初コメありがとうございますー!!!ほんとに励みになりますありがとうございます。亀更新ですが是非是非これからもよろしくお願いします!!! (2018年4月13日 9時) (レス) id: 0cca539cb5 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 初めてのコメント失礼します…!いつも続きの展開が気になってソワソワしてます(*´u`)無理なさらず頑張ってください…!応援してます! (2018年4月5日 21時) (レス) id: 514ce4152b (このIDを非表示/違反報告)
くりふわ@想伝(プロフ) - ああああああああああああああ天月すん!!!嬉しい!!!やばい!!(語彙力)取り敢えずありがとうございます!!!!!!!!! (2018年3月16日 19時) (レス) id: 77ed961b3e (このIDを非表示/違反報告)
神咲のあ(プロフ) - ヨワムシうさぎさん» ではツイッターにリプ送らせていただきますね! (2018年3月16日 15時) (レス) id: 0cca539cb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨワムシうさぎ - 神咲のあさん» えっと、URLの貼り方というかそもそもURLがなんなのかわからないのでツイッターでよろしいでしょうか? 私のアカウントは「月夜の黒兎 @blackrabbit9603」です。 (2018年3月16日 15時) (レス) id: 9999d2d00f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神咲のあ | 作成日時:2018年2月12日 18時