ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１３９ まふまふside ページ49

るすくんの問いに、僕は少し言い淀んだ。

『強い』って言葉にはたくさんの意味があるから。

純粋に力だけの強さ。

何かを決断できる強さ。

何かを思い続けられる強さ。

誰かのために動ける強さ。

失うことを恐れない強さ。

やり返さない強さ。

自分の意思を突き通す強さ。

挙げたらきりがない。

それぞれの強さには、それぞれの弱さが隠れている。

嫌われたくないとか、死にたくないとか、失いたくないとか、傷つきたくないとか。

守りたいものの数だけの強さと弱さが、僕らの周りにはある。

…これからも僕はたくさん迷うと思う。強さの種類に戸惑って間違えることもたくさんあると思うけど。

ま「僕は、自分が守りたいと思った人を守る強さが欲しいんだ。イギリス戦の時のヴァンプみたいに、不利でも怖くても立ち向かう強さが。」

強くなるとはなんなのか、という質問の答えにはならなかった。

でも、るすくんは何か腑に落ちたみたいだった。

る「ヴァンプに入ってるもう一人の血、早く誰のか探さないとな。」

坂田の腕の中で、ヴァンプは苦しそうに呻く。

時々手からぼうっと炎が上がるけど、近くにいる坂田にもうらたさんにも絶対当たらない。きっと無意識にコントロールしてるんだろう。

るすくんは黙って立ち上がるとEveの横に行った。

る「こいつのこと、俺が捕まえとく。暴れ出したら一緒に止めてくれる？」

しゅるり、真っ白な鎖が蛇みたいに姫に絡みついた。

E「任せてください、先輩。」

Eveの顔は、どことなく嬉しそうだった。

ま「そらるさん。」

何かを考え込むように止まってるそらるさんへ声をかける。

そらるさんは生返事を返すだけで、こちらを見ることすらしない。

そ「ヴァンプはさ、俺たちのこと信頼してくれてるのかな。」

不意にそらるさんは呟いた。

そ「この短期間のうちに、過去を話して欲しかったなんて言わない。言わないけど、せめて辛いことは言って欲しかった。」

そらるさんとヴァンプは少し似ていると思う。

自分の弱みを見せるのは苦手なくせに、人から信頼されたり相談されるのは得意。

冷静で客観的だからこそ、自分のことを分析し過ぎてしまう。

ま「そらるさ…。」

言いかけたところで、急に大きな音がした。

ばちん、と火薬がはじけるような音。

世界がスローモーションになっていく。

？「来ると思ってたよ、日本軍特別部隊…。」

聞こえてきたのはまだ若い男の声。

？「いや、悪魔の操り人形たち。」

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