ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１２８ そらるside ページ38

るすがイヌと連絡を取り合っている間、俺の特別部隊用の端末に一本の電話がかかってきた。

そ「…誰だ？」

知らない番号。

そもそも俺のこの連絡先を知っているのは特別部隊の隊員だけのはず。

隊員ならちゃんと連絡先を登録しているから表示されるはず。

でもこの電話は非通知。

警戒したほうがいいけど、一応出てみるか。

『ふざけんなよブス。』

誰の声かわからなかった。

でも、多分聞いたことのある声だった。

ま「っそらるさん、その声は…。」

スピーカーにしていたのでまふまふにもその声は聞こえたようだ。

まふまふは人の声聞き分けるのうまいから、もしかしたら誰かわかったのかもしれない。

ま「ヴァンプの声じゃないですか。」

…ヴァンプ？

あの冷静な？

いやいや、え？

ヴァンプらしからぬ暴言と声のトーンに驚いていると、別の女の声が聞こえた。

ま「姫と一緒にいるみたいですね。」

こっちも、別人みたいな声だった。

いやらしくて、気持ち悪い声。聞いてるこっちが吐きそうになる。

ま「ヴァンプをさらったのって姫だったんですかね。」

まふまふは何か引っかかった顔をしている。

すると、何か話していたるすが電話を切り、難しい顔をした。

る「そらるさんすみません、イヌと連絡取れなくて。身元割れしたっぽいです。」

最悪のタイミングだ。

びっくりするくらいのバッドタイミング。

偶然とは思えない。

歌「…そらるくんにいうか迷ってたんだけどさ。姫、釈放されたんだよね。」

ため息をついて、歌詞太郎が申し訳なさそうにしている。

そ「なにそれ、俺そんなの聞いてない。」

歌「今日マトリから連絡あってさ。そらるくん後処理にめっちゃ追われてて正直に話すとアレかなって話になってたんだよ。」

そ「なんだよそれ。」

思わず歌詞太郎の胸ぐらを掴むと、横からそっと浦田が肩に手を置いてきた。

そ「ごめん、八つ当たりした。」

歌詞太郎はなにも悪くない。

仕事上、金積まれて犯人釈放なんて今までに何度もあった。

だけど、今回ばかりは事態が事態だからくるものがある。

まだ繋がったまんまの通話先からは姫の怒鳴り声だけが聞こえる。

どうやらヴァンプはなにかしらの質問の後だんまりになってしまったようだった。

はやく、はやく助けないと。

通話の奥で、ガシャガシャと金属が激しく擦れる音がしていた。

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