ヒーローがログインしました！season3【歌い手】

ヒロイン！１１７ そらるside ページ26

そ「はい、これ。」

ヴァンプにショップバックを見せると、ヴァンプは少し気まずそうにぺこりと頭を下げた。

少し別行動してる間にヴァンプも何か買ったようで、ショップバックを持っていた。

そ「うらたくんに怒られちゃうから、それかして。」

ひょい、と荷物を持つと、あっとなんか言いたげに口を開いてすぐに閉じた。

そ「…なんか買い忘れでもあった？」

一応聞いてみると、ヴァンプは首をふるふると振る。あんまり頭振られるとちょっと心臓が冷える。まぁ本人は神経のこととか知らないから仕方ないんだけど。

「三塚さん、ありがとうございます。」

その言葉を聞いた時、少し処理が遅れた。

『三塚さん』って言った？

言ったよね？

黙ってる俺を見てヴァンプが不安げな顔になる。

「えっと、三塚さん？」

ヴァンプ…俺の名字ちゃんと覚えてたんだ。さっき俺は『宇宙』って下の名前しか言わなかったのに。

いや律儀そうな子だけど他人に興味とかなさそうだし、最初ご飯行った時は関わる気ないとか言われたし、ちょっと不安だったんだよ。

戦地での『遺書に描きたいのに名前忘れた』って発言もまふからヴァンプのカッコよかった話(煽り)として聞いてたし。

そ「名前、覚えててくれたんだ。」

「みつつかそらさん、ですよね？」

そ「忘れてなかったんだね。」

「…槙さん、三塚さんにもその話してたんですか。」

なんだ、俺の本名もまふまふの本名もちゃんと覚えてるじゃん。

やっぱりこの子ちゃんとしてるよね。

そ「A、お昼ってもう食べた？」

今日の集合は２時だったし、食べててもおかしくない。

一応聞いてみると、ヴァンプは気まずそうな顔で

「食べてません。」

と答えた。

そ「じゃあご飯いこ。俺も食べてないんだよね。」

ヴァンプの手を引いて歩き出す。

そ「…？」

ふと横目で周囲を確認する。ヴァンプには気がつかれないように、周りの様子を伺う。

誰かからの視線を感じたのだ。

明らかに敵意をむき出しにした、変な視線を。

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